仕事、家庭生活、お金、親子関係……、さまざまなお悩みに、110冊以上の著作を誇る作家の本田健さんと、PRESIDENT WOMAN Onlineの連載「WOMAN千夜一夜物語」でおなじみのコラムニスト河崎環さんが回答する人生相談、今回は「仕事ができない夫」についてのご相談です。
うちの夫はおそらく“会社で仕事ができない人”です。家庭内でも“言われたことしかやらない”、時には“言われたこともできない”です。夫はとても心が優しく、子育てにも協力的ですし、人には得手不得手があるので細かいことは言わないようにしていますが、それでも子供の安全に問題が発生するようなことをされた場合には、イラッとします。「きっと会社でもこの調子で、周りの人に迷惑をかけたり、いらだたせたりしているのだろう」と思うと、モヤモヤします。また夫に対して、このような気持ちを抱いてしまう自分に罪の意識を感じます。どうしたらいいでしょうか。
すべての魅力を兼ね備えている人はいない
【本田健さんの回答】
あなたは、そもそも、なぜ旦那さんに魅力を感じて、結婚しようと決めたのでしょうか? 自分のことさえよければいいという風潮の中で、優しい素敵な男性だと思ったからではないでしょうか。今は、当時の気持ちを忘れてしまって、パートナーのできていないところに意識がいっているようです。
優しいけれどちょっと弱気な人、仕事はできるけれど無神経な人は多くいますが、優しくて仕事もバリバリできて、きめ細やかな人は、そういるものではありません。
なぜなら、日常的に使うエネルギーのモードを、ほとんどの人が変えられないからです。その人の“ノリ”として表れる、持って生まれたエネルギーのモードは、戦士のエネルギー、恋人のエネルギー、ピエロのエネルギー、哲学者のエネルギーの4つに分類できます。それぞれ、強気でガンガン進める、ソフトに包み込む、楽しませる、深く考えさせられるなどの特徴があります。
これらすべてを兼ね備えている人はほとんどいません。ですので、自分がどのエネルギーと触れていたいのかということが大切になります。強気の人は頼もしいですが、仕事ばかりを追いかけて、あなたのことをあまり気にかけてくれないかもしれません。逆に、ソフトな人といると優しい気持ちになるかもしれませんが、あなた自身が仕事やお金の心配をしなければいけなくなってくるかもしれないのです。
女性として幸せになるためには、ハンサムで仕事がバリバリできる人と結婚してはいけないというアドバイスがあります。成功している男性は、闘争心も強く、自分勝手になりがちです。そのため、あなたのことを捨てて、もっと若くて魅力のある人に行ってしまう可能性があるからです。
もしあなたがそのタイプの人と結婚したとしたら、ずっと絶望感にさいなまれ、捨てられる不安を感じ続けることになります。そう考えると、イライラするぐらい優しい旦那さんにも感謝できるのではないでしょうか。あなたに対して不誠実で、いい加減な人ではなく、優しい人と一緒になれたなんて、女性としてラッキーだと思いませんか?
いや、そんなことないと思ったら、パートナーを変えることも考えてみましょう。そうすれば、すべてが揃っている人なんていないことに気付くでしょう。
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2200万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は110冊以上、累計発行部数は700万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/
妻のフォローでコミットメントの精度を上げる
【河崎環さんの回答】
旦那さんは、少なくとも言われたことは(できるかどうかはともかく)やろうとする、とても素直な人なのですね。心も優しくて子育てにも協力的ときて、実はあなたはとてもラッキーな人だと考えてもいいかもしれません。世間では、(できない上に)言われたこともあーだこーだ理屈をつけたりしてやってくれない、そんな旦那さんに悩む奥さんも多いものです。
ただ、子供の安全に問題が発生するのは困りものです。それは最近流行りの“コミットメント”なわけで、言われたことを引き受けたからには、結果に責任が生じるのですよね。たぶん、旦那さんはソフトな性格のぶん、そこの考え方がちょっと緩いのかもしれません。
仕事の入り口はスムーズなのだけれど、出口も緩い。それでは仕事のクオリティが低くなってしまうので、ある種の生産管理の考え方を持ち込むと、かなり改善されます。彼に任せたいジョブをすべて明確に伝え、かつ、任せっぱなしにせずに途中で必ずクオリティ確認をするのです。LINEなどで「◯◯してくれた?」「◯◯の件、いまどうなってる?」「いまどこにいる? あと何分で着く?」口うるさいと思われようとも、むしろそれが夫婦としての役割分担というかあなたの妻としての“キャラ”、くらいに思ってもいいかもしれません。なぜなら、慧眼のあなたが見抜いていらっしゃるように、旦那さんはおそらくどこでもそういう調子で、身近に“きちんとして、マメな人”を必要とするタイプだからです。
このようなことで、旦那さんへ罪の意識を感じる必要はありません。夫婦とはお互いのデコボコを補い合うもの。きっとあなたにも何か不得手なことがあり、それを旦那さんが補ってくださっているはずなのですから。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。