1万円から買えて定期預金よりはるかに有利

もうすぐボーナスの季節です。「今度のボーナスこそ、ちゃんと貯金しておこう」と思っている人も多いのではないでしょうか。

でも、マイナス金利時代に突入した今、大手銀行の定期預金金利はますます下がって年0.01%(税引き前。以下同)しかありません。預入期間が1年でも10年でも年0.01%ですから、もう“マイナスでないだけマシ”という感じ!?

大切なお金だから、安全・確実に預けたい。とはいえ、もう少しマシなところはないかしら? ――そう考える人に、ぜひお勧めしたいのが「個人向け国債」です。

「なんだか難しそう」「大金がないと買えないのでは」と思うかもしれません。でも、「個人向け国債」は1万円から買えて、金利は定期預金よりはるかに有利、しかも安全・確実な点では日本一、という最強商品なのです。近くの銀行や郵便局、証券会社で扱っているので、気軽に買えるのも魅力です。

まずは、この「個人向け国債」がどんな商品か、もう少し詳しく説明しましょう。

確実に利息がついて全額を国が保証

「個人向け国債」は、名前にあるとおり「国債」の一種です。これは、ひと言でいえば国にお金を貸して、代わりに受け取る借用証のようなもの。国にお金を貸すことで、定期的に決まった利息を受け取り、満期になれば元本を返してもらえます。一般的な国債は市場で売買されて値段が上下するので、満期前に売れば、元本割れすることもあります。こうした国債に投資するのは、ちょっとハードルが高いですね。

「個人向け国債」は、そんな国債を一般の人にも買いやすいように工夫したもの。途中で換金しても元本割れしないしくみで、1万円から1万円単位で手軽に買うことができます。

さらに、「個人向け国債」の利率は、最低でも年0.05%と決められています。このため、定期預金の金利が年0.01%の今でも、「個人向け国債」の金利は年0.05%と、5倍にもなっているというわけです。

安全・確実という点では、“国の保証つき”という強みがあります。もし銀行が破綻した場合、銀行預金には預金保険がありますが、保証されるのは元本1000万円とその利息まで。「個人向け国債」は、元本、利息ともすべて国が保証します。

では、もし日本という国が破綻したら? そんな心配をする人もいますが、もしそうなったときは、民間の銀行はすでに壊滅状態になっているはず。想像したくはありませんが、そんな意味から「個人向け国債」は日本一安全な商品、といえるのです。

商品は3種類。変動金利タイプを選ぼう

「個人向け国債」は毎月発行されています。発行月の前月に金融機関で募集が行われ、これに申し込んで購入します。種類は、変動金利で期間10年の「変動10」、固定金利で期間5年の「固定5」、同じく固定金利で期間3年の「固定3」の3つです。

このうちどれを選ぶかといえば、今は迷わず「変動10」を選びましょう。

写真を拡大
個人向け国債の商品内容

6月に募集された7月発行分の金利は、3種類とも最低金利の年0.05%でした。8月発行分の募集は7月7日~29日で、金利はまだ決まっていませんが、7月発行分と同水準と考えられます。

固定金利の「固定5」「固定3」だと、満期までずっと同じ利息しかもらえません。一方、変動金利の「変動10」は、状況に応じて金利が上下します。最低金利のときに買えば、今後、利息が減ることはなく、増える可能性あるのみ。期間10年は長すぎるようですが、1年を過ぎれば途中換金も可能です。この場合、直前1年分の利子相当額(税引後の受取額)が差し引かれますが、それまでに受け取った利息と元本を合わせれば、マイナスになることはありません。

銀行で買うと口座管理料がかかることも

「個人向け国債」を扱う金融機関は日本に1000以上あって、たいていの銀行や証券会社で購入できます。でも、どこで買うかはかなり重要。なぜなら、銀行の中には、口座管理料が必要になるケースがあるからです。たとえば、三井住友銀行の場合、通帳式を選ぶと月額108円(消費税込み)の口座管理料が必要で、取引残高報告書方式だと無料になります。

給与振込口座のある銀行で購入するのは便利で悪くない方法ですが、口座管理料についてはしっかり確認する必要があります。

キャンペーンで現金がもらえる証券会社もある

「個人向け国債」の販売に力を入れているのは、銀行よりむしろ証券会社です。証券会社では口座管理料が無料で、中には、購入額に応じて現金やギフトカードをくれるキャンペーンを行うところもあります。ただ、「100万円以上購入した場合」となっていることが多く、ボーナス資金だけではちょっと厳しいかもしれません。

キャンペーンは6月いっぱいで終了した会社が多いのですが、野村證券やSMBCフレンド証券、SMBC日興証券のように、7月末までキャンペーンを行っているところもあります。たとえば野村證券の場合だと、「変動10」か「固定5」を100万円以上購入すると、100万円につき2000円の現金がもらえます。もし1000万円以上なら、もらえる現金は100万円につき3000円にアップします。それだけのお金を運用する余裕があれば、有利なことは間違いありません。

「証券会社で購入すると、後からセールスの電話がかかってくるのでは?」――その可能性はあるでしょう。それがいやな人は、楽天証券、マネックス証券など、ネット専業の証券会社を利用するのがお勧めです。すでにキャンペーンは終わっていますが、ネット専業ならセールス攻勢に会う心配はありません。

超低金利はまだまだ続きそうです。これまで銀行に預けたことしかなかった人も、これを機会に、運用先を少し広げてみてはどうでしょう。

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。