仕事、家庭生活、お金、親子関係……、さまざまなお悩みに、110冊以上の著作を誇る作家の本田健さんと、PRESIDENT WOMAN Onlineの連載「WOMAN千夜一夜物語」でおなじみのコラムニスト河崎環さんが回答する人生相談、今回は「自分の選択に対する後悔」についてのご相談です。

【今回のご相談】
自分の気持ちが分かりません。こうすべきとか、こうあるべきという考えはあるのですが、いざその通りに行動した後に、本当は自分が嫌だと思っていたことに気が付くことがあります。結婚も“すべき”と考えて結婚して、夫の住む地方に移り住みましたが、 その後、自分が夫と結婚したいと思っていなかったこと、関東で暮らしたかったことに気付きました。ついに夫のことを受け入れられなくなり、コミュニケーションもセックスも避けるまでになってしまいました。夫にはとても辛い思いをさせていると思いますし、私自身も辛いです。 30歳を過ぎた今でも、自分というものが分かりません。自分自身としっかり向き合い納得した日々を送るためには、どのように生きていけばいいのでしょうか。
「人生は後悔の連続」、そうは言っても今の苦しい胸の内をどうにかしたいと思うのが人の常です。(イラスト=伊野孝行)

今の人生から逃げ出したいときにすべきこととは

【本田健さんの回答】

自分の人生が分からなくなっている人は、あなただけではありません。今の仕事をやりたかったわけではないし、今の結婚生活も望んでいなかった。子どもも本当は欲しくなかった、今の人生から逃げ出したいという人は、実にたくさんいます。

今まで私が行ったカウンセリングの体験から言うと、今の自分の人生を嫌う人は、すべてを捨てて沖縄か、北海道に行きたいと言う傾向があります。あるいは、貯金を全部引き出して、南の島に行きたいと言ったりします。どこか遠くに行けば、人生をやりなおせると感じるのかもしれません。きっと、南の方に住んでいる人は、常夏の退屈な島ではなく、雪の降るきれいなところに行きたいと考えるのではないでしょうか。

人は、例えば今の仕事がイヤだということは実感しやすいのですが、ではどの仕事がいいかというと、さっぱり見当もつかないものです。

ひょっとしたら、世の中の半数以上の人がそういう気持ちを持っているかもしれません。でも、何が欲しいのかがはっきりしなければ、状況を変えたとしても満足できないし、そもそも何を変えたらよいかすら分からないでしょう。

落ち着いて、何がイヤなのか、何がいいのかを1つずつ整理していきましょう。整理していったら、仕事を変えるだけでずいぶん気持ちも違ってくるかもしれませんし、旦那さんと別れたいと感じるかもしれません。自分が何を感じているのかに意識を向けてみましょう。

男性回答者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2200万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は110冊以上、累計発行部数は700万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/

軌道修正は間違いではない

【河崎環さんの回答】

いやぁ、自分って分からないですよねぇ。自分は何がしたいのか、何ができるのか、どういう人間なのか。他人のことはいろいろと見えても、自分が一番分からないものです。ましてそれが「きっと正解」と行動した後に、本当は自分が望んでいなかったと気付く……。事後なだけに、そして自分が起こした行動なだけに、苦しいですよね。

それはきっと、ご自分でも気付いていらっしゃるように、「こうすべき」「こうあるべき」とあなたが信じている姿と、あなたの本音には距離があるからなのですよね。でもあなたは「こうすべき」と思ったらその通りに行動するくらいとても真面目で、しかも「夫に辛い思いをさせている」と、責任感まで強く、決して人のせいにしない。だからご自分を責めて辛いのですよね。

でもよくよく拝読すると、「30歳を過ぎた今」とのことで、まだ十分お若く、自分の扱い方を試行錯誤する時間がありますよ。まずは、人生の全てのことにおいて「軌道修正することは間違いではない」ことを知ってください。どこかで誤っていたと判断したら、そこで軌道修正してもいいのです。誠心誠意、巻き込んだ人々に謝り、償って。あなたはとても真面目な方だから、その誠意はちゃんと伝わると思います。

「軌道修正してもいいのだ」。そう思ったら、少し気が楽になりませんか。自分の心に耳を傾けて、いよいよ軌道修正したくなったら(「軌道修正すべきと思ったら」ではありません)、誠実に進めましょう。よくよく悩んだ結果、軌道修正には及ばない、このままでいいと思えるのなら、それもまたご自分の良き判断、“三十を超した”大人の女の選択なのです。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。