経歴、見た目に加えて性格までよい男性が、お見合いパーティー、ネット婚活から撤退した理由とは? また、そこから女性が学ぶべきことは?
なぜ、あなたが結婚相談所に!?
結婚相談所を開いてまだ半年あたりのころだった。カップルも少しずつ誕生し始めて、少し一息をついたとき、とんでもない男性が入会を希望してきた。
36歳、都内在住のカツヤさんは東大出身。アメリカの有名大学院を卒業後、大手証券会社に就職。身長180センチ以上、結婚歴はなし。
「え、なんでこんなに素敵な人が結婚相談所やって来たの?」喜びよりも戸惑いが大きい。しかし女性会員は彼が入会したら喜ぶだろう。私は入会カウンセリングへ向かった。
イケメンエリート、お見合いパーティー撤退!
「単刀直入に聞きますが、どうしてあなたのような人がうちに来たんですか?」カツヤさんは坂口健太郎似のイケメンだった。輝かんばかりの経歴にルックスのよさが加わり、私の不信感はさらに増した。
「僕もまさか結婚相談所に入るなんて思っていなかったんです」彼は、ここに来るまでの経緯を話し始めた。
「婚活は今年から始めました。最初はお見合いパーティーからでした。参加すれば必ず、ほとんどの女性から交際のオファーがありました。最初は偶然かなと思っていましたが、ずっと同じ結果でした。だから僕が一番に選んだ人と絶対にカップルが成立してしまうので、かえって迷うようになり、相手を選べなくなったんです」「す、すごい悩みですね!」あまりにもモテすぎると、人は人を選べなくなる――新しい発見だ。
「その場で選ぶのが難しいので、お見合いパーティーをやめてインターネット婚活に移行しました。ネット経由ならば、じっくりお相手のプロフィールを見て自分のペースでお会いできると思いましたので」「パーティーはその場その時の判断ですが、ネット婚活ならゆっくりと考える時間がありますものね」「ところがですね、今度はもっと困った事態に陥ったのです」「ええっ?」
イケメンエリート、ネット婚活でも自滅!
彼が利用したのはインターネット検索型の婚活サイトだった。開始1時間で女性からのお見合いのオファーが100件を超えた。3時間を超えるころには、500件以上に膨らんでいた。
「大西さん、この数ではじっくり見ると言ったって限界がありますよ」「確かに。ちゃんと見ていたらおじいさんになっちゃいますよね」「そうなると、プロフィールを見る前に絞り込みせざるを得ないのです。まず年齢制限をかけます。一番申し込みが多いのは、30代後半から40代前半の方なので、この人たちをガサっと切ることになります。それでやっと3分の1ぐらいまで減るでしょうか」「3分の2が歳上の女性からなんですか?」「はい、そうですね」
「その次に、申し上げにくいのですが……。写真ですね。顔が好みでない人はどんどん削除していきます」「では、プロフィールは?」「年齢で絞り込み、写真を確認した後に、残った方のプロフィールを読んでいきます」「それは何と言いますか……」
条件のいい男性には雨後のたけのこのように女性が集まり、処理できない数に膨らむ。そこから年齢制限とルックス審査の2つの関門を通過した人だけが、やっとプロフィールを読んでもらえるという段階にたどり着けるのか。
「でも、結婚を考えるなら、見るべきは内面じゃないですか。だからその絞り込みの作業を終えた段階で、『もしかしたら僕の理想の女性を削ってしまったんじゃないか』という不安でいっぱいになりました。年齢と外見で女性を判断している自分に気付いて、嫌悪感にも襲われました。結局、誰に会うこともなくネット婚活をやめ、今日ここに来たわけです」
誠実なイケメンエリートの婚活から女性が学ぶべきことは
結婚相談所ならば、仲介人がいる。その仲介人に自分が大切にしていることを伝えられる。そして、自分に合った相手をちゃんと選んで紹介してもらえる──そういう希望を持ってカツヤさんはやって来たのだ。彼は3カ月もしないうちに、お見合いを通じて、同世代のごく普通の女性と結婚していった。
誠実な男性は、人を上辺で判断して“切る”という行為をよしとしない。しかし自分だけで相手を選ぶには時間の制約があるため、年齢やルックスなどの条件から候補を絞り込む作業が必要になる。その作業なしで自分が望む相手と巡りあう機会を得るには、仲介人がいる結婚相談所が最も適している。
こうしてイケメンエリートの中でも特に誠実な人、優しい人が結婚相談所にやって来ることになる。
逆に言えば、同世代で能力が高く、見た目も優れている男性と結婚したい女性は、20代まででないと、ネット婚活やお見合いパーティーでは不利になりやすい。「年齢審査」が大きな障害となるからだ。
だからといって結婚相談所に入ればそんな男性と出会えるというわけでもない。男性の希望に合致しなければ、会員の中に誠実なイケメンエリートがいたとしても出会うことができないのだ。
こういう男性側の状況を押さえずにイケメンエリートにこだわって婚活をすると、本当に大怪我をしてしまう危険性が高い。それは「待てど暮らせど、相手にプロフィールすら届かないかもしれない」というハイリスクハイリターンな望みであることを踏まえた上で、戦略を練る必要がある。
婚活アドバイザー。結婚相談所を経営。1977年大阪府生まれ。東京都文京区在住。過去20年で延べ4万3000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。小中学校ではイジメを受け友達がいなかったため、周囲の人間関係を観察することを目的にして登校を続ける。特に恋愛に注目してコミュニケーションを学ぶ。高校生のとき、初めてできた友人に恋愛相談を持ちかけられ、日頃鍛えた人間観察眼を生かしたアドバイスを行い、無事に解決。それをきっかけに恋愛相談が立て続けに舞い込むようになる。婚活指導を通して、5年間で200組以上のカップルを成婚へと導いている。著書に『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)がある。