コンビニで買い物するより、消費財はネットや量販店でまとめ買いするほうがお得感ありますよね。そこに「ちょっと待った!」と警鐘を鳴らすのは、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さん。ビールまとめ買いの実体験がもたらした知恵とは?

ビールのまとめ買いが酒量アップ=無駄使いに!?

まとめ買いは単価が安くなりますから、お得感があります。でも、ちょっとした落とし穴があるので、そこだけ注意したいところです。

長年、私もまとめ買いはお得でいいと思っていました。ところが、そうでもないなと思ったのは、実体験からです。

私はビールがとても好きで、家でもよく飲みます。というか、飲んでいました。夏になると、どうも止まりません。当然、買うのは350ミリリットルの6缶パック。そのほうが割安ですからね。

ある夏の日。朝からとても暑くて、自宅で仕事をしていた私はついビールに手がのびて、朝っぱらから飲んでしまいました……。さすがにそんな自分の行動に呆れて、「このままではマズイ」と思い、真っ先に行ったのは、ビールのまとめ買いをやめることでした。

目の前にあると、つい飲んでしまいます。そんな自分の弱さを痛感した私は、目の前からビールを消そうと思いました。どうしても飲みたいときには、その都度買いにいくことにルールを変えたのです。

効果てきめんでした。自分でも驚くくらいにビールの消費量は減り、1本当たりのコストは高くなりましたが、飲む頻度が圧倒的に減ったことで、私のビール代は安くなりました。

【ビール1本の単価×本数=ビール代】です。

単価がいくら安くなっても、消費する本数が多くなってしまっては、結局ビール代は高くなってしまいます。まとめ買いは、単価を落とす効果はありますが、かえって消費量を増やしかねない危険性もはらんでいます。

「なりたい自分」をイメージすると、お金の使い方も変わる

まとめ買いが、私のように嗜好品だとますます危険です。嗜好品ほど、都度買いを検討してみてはいかがでしょうか。日用品であっても、消費量をぜひ意識してみてください。

私は、「このままではいけない」と強く思ったことが、好きなビールを抑えるキッカケになりました。他人に「やめなさい」と言われるくらいでは、きっと変われなかったと思います。結局、他の人にどうこう言われても、自分が心底本気になれないと、人ってそう簡単に変われるものではありません。

あなたのお金の使い方も同じでしょう。第三者の私が「お金の使い方を変えましょう」と言っても限界があります。あなた自身が心から「変わりたい」と思わなければならないのです。

あなたの心の奥底から、「変わりたい」と強く思うことが、あなたの行動を大きく変えてくれるキッカケになります。そのために、「なりたい自分」を強くイメージしてほしいのです。

「なりたい自分」は常にあなたの道しるべになってくれるでしょう。

※本連載は書籍『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(八ツ井慶子著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

八ツ井慶子(やつい・けいこ)
個人向けの相談に積極的に取り組み、リピーターも数多く抱えるファイナンシャルプランナー。一方で全国を飛び回って講演活動も行い、テレビや雑誌などの取材依頼も引きを切らない。「NHKスペシャル」「ズームイン!!SUPER」「ワールドビジネスサテライト」などに出演したほか、「プレジデント」「日経WOMAN」「CREA」などにもたびたび登場されている。2013年に「生活マネー相談室」を設立。著書に、『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(プレジデント社)などがある。