中小だけど大手に負けないキャリアを築きたい……でも、どうしたらいい? サイバーエージェント執行役員人事統括本部長 曽山哲人さんは「“決断経験”を増やす」ことが大事だという。その意味とは?

Q.中小で大手に負けないキャリアを築くには?

A “決断経験”を増やす

“決断経験”を増やすことですね。これは私たちがよく使う言葉で、自分から何かをやると決め、それを実行することを指します。例えば営業なら新しい販売方法を考えて取引先に提案してみる、総務なら業務を効率化する方法を考えて上司に提案する、など。

サイバーエージェント執行役員人事統括本部長 曽山哲人さん「自分が活躍できるペースを見つけよう」

何かを決断すれば、それを実現するためにはどうすればいいかを考えることになります。やり方を調べたり、人に意見を聞いたりと、「自分発」の行動が増える。そしてやってみた結果を検証しますから、人より多くPDCAサイクルを回すことになる。だから決断経験の多い人は学びも多いのです。私は人事という仕事柄、ヘッドハンターとよく会いますが、彼らが見ているのは、その人が過去にどれだけ決断をしてきたかということ。決断の結果が成功か失敗かは関係ありません。

私は中小や大手などの区分けはあまり好きではありませんが、どちらかといえばベンチャーのほうが、自分の決断が与えたインパクトが目に見えてわかりやすい。その点ではベンチャーのほうが有利ではないかと思います。

Q.職場以外に快適仕事空間をつくる方法は?

A 一人で内省する時間を確保する

快適な仕事の空間をつくるには、物理的な要素も大事ですが、気持ち的なものも大事ですよね。

僕が女性におすすめしたいのは、一人で内省する時間を決めてつくることです。そのための手段として、雰囲気のいいカフェに行くのもいいかもしれません。でも、そこでスマホをいじっていたのでは結局同じ。例えばスマホの電源を切るとか、1時間はSNSを見ないと決めることです。

常に飛び交う情報に注意を向けていると仕事に集中できないだけでなく、「自分は本当は何をしたいのか」「あの経験は自分にとってどういう意味があったのか」というようなことをじっくり考える内省の時間が確実に減ってしまいます。

その点、情報を断てば脳が休まる。また自分の脳だけを情報源に考えたことをノートに書いたりしていると、自分だけの情報の統合が起きて、いいアイデアが湧くことも珍しくありません。

オフィスにいるときは難しいかもしれませんが、定期的に内省する時間をつくる習慣を、身につけてほしいですね。

曽山哲人
サイバーエージェント執行役員人事統括本部長。上智大学卒業後、伊勢丹を経て1999年、サイバーエージェントに入社。2005年に同社人事本部長に就任。革進的な人事制度、社員サポート制度、マネージャー育成制度を導入した。15年より現職。
 

構成=長山清子 撮影=加藤 梢