春めいてきた休日。気ままな東京散歩にオススメしたいのは、本と書店をこよなく愛するブロガー、BOOKSHOP LOVERさんがセレクトする本屋さん。一般的な書店では味わえない個性的な空間に、はまってしまうかも――。
FLYNG BOOKS(渋谷)
●海外アーティストも訪れる
渋谷駅からほど近い繁華街にある、海外アーティスト(NYのシンガーソングライター、ジェシー・ハリスなど)も訪れる古本屋。本好きの彼らがクチコミで知って、来日時に訪れるらしい。「昔を懐かしむのではなく、むしろ古いものから新しい発見をしてほしい」と言う店長がセレクトするのは、1970年代発行の「an・an」や「non-no」、そして「BRUTUS」などのカルチャー誌や写真集など。併設のカフェでは手挽びきコーヒーを280円でふるまっている。女性に好評なのはオリジナルのミントラテ。ほろ苦い泡にスッキリしたミントが香り、ヤミツキになる味だ。
BIRD DAIKANYAMA(代官山)
●ピクニック気分で本選び
店内に入ってまず驚くのが、床の半分を覆う人工芝。ピクニック気分で直接座ったり、スツールに腰掛けながら本を選べるのがこの店の特徴で、本棚には絵本や図鑑から大人も楽しめる読み物、写真集がたっぷりある。併設のカフェでは、オーナーが信頼する知人から取り寄せた食材でつくるサンドイッチや飲み物を提供。子どもにも安心して食べさせられるのがうれしい。風通しのよいオープンテラス席もおすすめ。居心地のよさに2~3時間粘る客もいるとか。
NICHIGETSUDO(青山)
●希少な紙文化に触れる
表参道駅から徒歩7分。根津美術館の目の前にレトロ気分にひたれる古書店がある。洋モノなら、有名デザイナーの自費出版本や1900年代に発行された海外の時刻表、和モノなら、戦前の舞子さんの名刺見本帳なんてものもある。特にすてきだったのが和菓子のフルカラー見本帳で、木版刷りの色がとにかく美しい。古書だけでなく、紙文化の歴史に触れられるのも魅力だ。価値がわかりづらいものは、学芸員顔負けの知識を持つ佐藤店長が丁寧に教えてくれる。
MORIOKA SHOTEN(銀座)
●「一冊の本」だけを売る店
2015年春、銀座のはずれに一冊の本だけを売る店が誕生した。1929年竣工という歴史を感じさせるレトロビル。その一角にある、ガラス張りのショーケースのような空間が「森岡書店銀座店」だ。店内では、美術家や写真家などの作品を期間限定で展示販売。それらの作品が収められた一冊の本を購入することができる。在廊している作家さんと直接話せるのがこの店の魅力だ。今後は写真集のほかに画集や詩集、小説なども展示販売される予定だ。
BOOK TRUCK(移動販売)
●水色のトラックで移動販売
イベントなどに出没する謎の移動式本屋。「普段本を読まない人が、読みたい本と出会う場所をつくりたい」との思いから、元書店店長の三田修平さん(写真右下)がたった一人で事業を始め、運営している。「出店場所によって品ぞろえを変える」のが特徴で、現在は目黒のEASE CREATOR’S MARKETや、赤坂蚤の市などに不定期出店。気になる人は、facebookをのぞいてみよう。もしかしたら、あなたの街にも水色のトラックがやってくるかもしれない。
各店の営業時間、定休日などはウェブサイトか電話でご確認ください。「COOK COOP BOOK」は2015年夏、移転予定です。
東京在住の会社員。自身のウェブサイトで全国各地の書店を紹介する「本屋探訪記」を連載。これまでにリポートした書店は100店を超える。将来の夢は自分で書店を開くこと。http://bookshop-lover.com/