デートというとどんなシチュエーションを思い浮かべますか? フランス女性は1対1で男性と会う場合、散歩を選ぶことが多いそう。少し意外な感じがしますが、そこには駆け引きに長けたフランス女性ならではの戦略がありました。フランス人を母方の祖母に持つアメリカ人女性、ジェイミー・キャット・キャランが「愛が始まる駆け引き」について紹介します。

散歩の効能

フランス人はいわゆるデートというものはあまりしません。仲間で集まるか、夕食会をひらきます。1対1で会う場合は、散歩に出かけることが多いようです。散歩は健康にいいし、景色が変わるので退屈しません。何より採用面接のようなアメリカン・デートがくだらないものに思えてくるから不思議です。お金を使う必要もないし、タイムリミットもなく、誰も見返りを求めてきません。女性にとっては、自分の思いは内に秘めたまま、彼の気を引き、ミステリアスな存在のままでいられる、絶好の方法でもあります。

日本では出会って間もない男性とのデートに「散歩」を選ぶ人はそれほど多くないかもしれません。フランス女性はこの「散歩」を有効活用します。

公の場を歩いているというのも、女性にとっては大きな利点です。これも、彼女が堂々としていられる秘訣と言えます。薄暗いレストランで、2時間半ものあいだ、彼に独り占めされている状態とは大違い。彼は、彼女がとびきりのおしゃれをして、公園を歩く姿を見ることになります。彼女がほかの男性から注目されていることにも気がつくでしょう。俄然、彼は競争心をかきたてられます。ともに歩くことは、タイムリミットのプレッシャーを感じることなく相手のことがよく分かる、素晴らしい方法です。歩いたり、自転車に乗ったりすれば、恋愛感情などない、ただの友達だというふりだってできます。何度も散歩して友情をはぐくみ、やがて心の準備ができたときに、初めてそれを別の感情に発展させればいいのですから。

自分について“話す”ではなく“見せる”

事実、愛とはあなたが日常の生活を送っているさなかに起きるものです。誰かをもてなしたり笑ったり、長めのランチのあとに職場に戻る途中などに。愛は、店で夕食用のチーズを買っているときにやってくるのです。

愛は、かつての同級生相手にジャーナリズムについて一席ぶっている夫の目を、テーブル越しにのぞきこんだときに見つかるものです。

愛とは、あなたが直前になって招待した同僚とあなたの親友とが、目配せし合っているのを見ることです。そうして、愛はあなたのまわりに、ゆっくりと織りあげられていくでしょう。

パーティがおひらきになり、あなたがおやすみなさいと言ってドアを閉めた瞬間にもそれは起こっています。理想の男性を見つけるという意味では、今夜は何ひとつ達成できなかったと、あなたは思っているかもしれません。

でも、愛とは取引をまとめることとは違います。誰かの電話番号をゲットしたり、デートに誘われたりすることでもありません。今夜のあなたは、それ以上のものを得たのです。古い友情をあたため、新しい友情をスタートさせ、友人や家族のために食事を用意しました。あなたは彼らに、忘れがたい、楽しいひとときをプレゼントしました。そうすることで、新たな愛へとつづく種をまいたのです。

今度男性からデートに誘われたら、ぜひ仲間をまじえたホームパーティに彼を招待してみてください。色々なタイプの友人を招待し、彼の知り合いの男性が少なくとも1人は含まれるようにしましょう。ゲスト選びは大胆に、斬新に。変わりばえのしない、いつものメンバーをよんではいけません。当日、彼は、友人や家族、仲間たちに囲まれているあなたを見ることになるでしょう。あなたが上手にピアノを弾く姿を発見するかもしれません。

こうしてあなたは、あなたにとってすこぶる自然な状況で、自分がどんなに素晴らしい女性かを彼に“見せる”ことができます。1対1のデートで過ごす2時間、レストランで自分について"話す"より、これはずっと効果的です。そして、パーティのあと、ふたたびデートに誘われたら(きっと誘われるでしょう)、ミステリアスな女らしく、午後の散歩に行きましょうと答えるのです!

※本連載は書籍『セクシーに生きる ――年を重ねるほどに、フランス女性が輝きを増す秘密』(ジェイミー・キャット・キャラン著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

ジェイミー・キャット・キャラン
アメリカ生まれ。フランス人である母方の祖母のもとで育ったアメリカ人女性。書籍『セクシーに生きる』(プレジデント社)(http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=1067)は、リアルな告白エッセイとして高い評価を得、たちまちベストセラーとなり、10カ国以上で翻訳されている。ニューヨークタイムズ紙をはじめ多くの新聞雑誌に恋愛指南コラムを執筆するほか、ニューヨーク大学、エール大学、 UCLAでライティングの講座をもつなど、著作以外の活動も活発に行っている。マサチューセッツ在住、気象科学者の夫とともに暮らす。http://www.jamiecatcallan.com