仕事、家庭生活、お金、親子関係……、さまざまなお悩みに、100冊以上の著作を誇る本田健さんと、PRESIDENT WOMAN Onlineの連載「WOMAN千夜一夜物語」でおなじみのコラムニスト河崎環さんが回答する人生相談、連載第7回は「家族の写真入り年賀状」に関するご相談です。

【今回のご相談】
38歳、独身の会社員です。赤ちゃんや家族の写真が入った年賀状が届くお正月は、幸せ自慢をされているような気持ちになり、鬱々(うつうつ)としてしまいます。同時に、友人知人の幸せを心から祝えないことに自己嫌悪を感じます。どうしたらいいでしょうか?
幸せそうな笑顔いっぱいの写真入り年賀状。自分の置かれている状況により受け止め方も変わりますが……。(イラスト=伊野孝行)

「何か足りない感」に対してアクションを

【本田健さんの回答】

知り合いの赤ちゃんの写真を見ると、自分がシングルでいることへの寂しさを感じるのかもしれません。そして、38歳という微妙な年齢が、感情的にあなたを揺れやすくしているのでしょう。年賀状だけでなく、「結婚しました!」という幸せいっぱいのお知らせのはがき、恋人や家族との海外旅行の写真がアップされたSNSなども、見るだけで切なく感じるシングル女性も多いかと思います。

そういうものを見る度に、毎回ズシーンとショックを受けて落ち込むのではなく、積極的にこの課題と立ち向かうこともできます。あなたがシングルでいることと、また、周りが幸せになっていることに対しての感情的なモヤモヤを解消するようにしましょう。周りの人の幸せを気にし過ぎると、あなた自身の幸せを見つけにくくなるからです。

今、結婚していなかったり、子供がいなかったりするからといって、あなたが不幸になる必要はありません。でも、そういった写真が、あなたの「何か足りない感」をあぶり出すのであれば、今の人生を見直すいいタイミングかもしれません。

これから、自分も積極的にパートナーを探すのか、現状に幸せを見いだすのか、どちらかにしましょう。そして、一人でいたとしても、今の幸せをしっかり受け止められたら、周りの人の幸せにもポジティブに反応しやすくなるのではないでしょうか。

男性回答者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2000万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は100冊以上、累計発行部数は680万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/

年初恒例の鑑賞会、そのたしなみ方とは?

【河崎環さんの回答】

そもそも赤ちゃんや家族の写真入り年賀状を、何のために出すのか? 幸せ自慢のつもりの無邪気な人もいるでしょうが、多くは「360度全方位に対応できる最も無難なコンテンツ」として惰性で続けています。毎年師走に「うわー、このクソ忙しい時期にまた年賀状の季節か。ていうかこの現代にも年賀状って必要か? ……必要なんだよなー、親戚とか。オンライン注文には写真年賀状のひな形がたくさん用意されていることだし、多分家族持ちといえばその辺が定石なんだろうし、またテキトーに見繕った家族写真でいいや(ポチッ)」って感じです、きっと。

そうでなければ、あんな微妙な赤ん坊や、コスプレさせられてねじれた作り笑いを浮かべる子供や、見せるほどでもない配偶者の写真を広く他人に送りつける意味が分かりません。あれが幸せ自慢なんだとすれば、結婚とか出産って、なかなかの脳内麻薬を出すものなんだなと笑ってやればいいのです。

また、親戚からの年賀状ならともかく、あなたが独身と分かっていて送りつけてくる同級生や同期からの写真年賀状は、「空気読めない」か「確信犯」か「ごめん何種類も作る余裕なくって……見逃してね、テヘペロ☆」のどれかです。ですから鑑賞する側としては、「年初恒例、人の“幸せ”に鬱々(うつうつ)としてみせる」も一種の38歳独身プレイ、レクリエーション的鑑賞方法ですが、こたつで日本酒でも飲みながら「アイツめ、ちょっと痛めに門松に刺さりやがれ」と念を送るのも一興です。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。