仕事、趣味、友人付き合い……と、女性の忙しさは世界共通。そこに"パートナー選び"を組み込んでいくのは大変なこと。しかしフランス女性は、毎日の生活の中で実に自然に愛を探し求めるといいます。なぜそのようなことができるのでしょうか。フランス人を母方の祖母に持つアメリカ人女性、ジェイミー・キャット・キャランが、その理由について論じます。

世界中どこでも女は忙しい

アメリカ人の生活は本当に忙しく、やらなければならないことが山ほどあります。キャリア、家族、家のこと。ジムに行くこと。友人と会う約束も。読書やヨガなど趣味のサークル活動や、こまごまとした雑用。メールの返事を打ったり、プレゼントを用意したり、買い物に行ったりもしなくちゃいけない。

そんな中、わたしたちはふと思うのです。恋人がほしい、と。または、恋人や夫との関係をよりロマンティックでセクシーなものにしたい、と。でも、そのために何かをする時間がない。

やらなければならないことが多すぎる現代。恋愛にも「せねばならない」と、責任感で向かっていませんか?

わたしたちは、ロマンスや愛、男性に出会うことを、一種の特別な仕事や任務のようにとらえがちです。運動しなくちゃと言って、毎日の生活の中で自然に体を動かすよう心がけるのではなく、週3回のジム通いを始めるのに似ています。

それにくらべ、フランス女性はすべてを毎日の生活に取り入れてしまいます。どこに行くにも歩くか自転車を使い、買ったものは自分で持つようにすれば、それだけでいい運動になり、ジムに行くためだけにわざわざ時間をとられなくてすみます。それにジムってあまり面白そうじゃないわ、というのが多くのフランス女性の感想です。

愛についても同じことが言えます。愛を探し求めるのだって、毎日の生活の中で楽しみながら、自然にやるものなのです。「やるか、やらないか」という極端な、身構えたものではないのです。

スイッチの切り替えがロマンスを遠ざける

男性との出会い、人付き合いをよくすること、そして毎日の生活に楽しみを見出すこと。これらが自分の中でひとつにまとまってくるまでは、フラストレーションやイライラを感じることもあるでしょう。仲間をつくり恋人を見つけることが、本当に大変なことに思えてくるに違いありません。一人寝は寂しい、だけど愛を探し求めるために生活のすべてがストップしてしまうのもイヤ。それでもなお、愛を求めて、インターネットやオンラインのお見合いサービスに登録する人がたくさんいます。恋愛や男性との出会いを、まるで何かの雑用か、仕事か、ちょっとした副業のように扱ってしまうのです。

インターネットを通じて、恋人やボーイフレンド、もしくは未来の夫を探す〈ショッピング〉に出かける。自分のプロフィールを掲示して、お誘いがくるのを待つ。そして確かにお誘いはくるのです。本当にこれは、愛のネットオークションのよう。ただしこの未来の恋人に対して、ケイト・モスで有名になったフェイクの豹柄コート以上の詳しい推薦コメントを書いてくれる人はいません。

だいたい10年前に撮ったみたいな、あの顔写真はどう? あと最近わかったのは、他人のプロフィールを掲示しちゃう男までいるらしい。つまり、今見ているプロフィールとはまったくの別人ってこと。だからなのか、実際に会おうとすると、連絡がとれなかったり、会えたとしてもうまくいかなかったりすることが多いようです。最悪の場合、しつこくプロポーズしてくるメールから逃れるために、アドレスを変更しなければならないことだってあります。

インターネットのお見合いサービスを利用しているフランス女性もいるにはいますが、アメリカほど一般的ではありません。フランス女性は自分の生活について、わたしたちのように分析して説明したりしないからです。彼女たちにとっては、日々のすべての瞬間、そしてすべての出来事が、人生の官能的な喜びを感じるチャンスなのです。本当のカギはそのあたりにあります。「スイッチをオンにして活動を始める」とか「スイッチをオフにして活動をやめる」という感覚がないのです。なぜなら、人生のすべてがロマンティックで官能的で、喜びに満ちたものだから。日常の中に誘惑がひそんでいることだって珍しくはないのですから。

※本連載は書籍『セクシーに生きる ――年を重ねるほどに、フランス女性が輝きを増す秘密』(ジェイミー・キャット・キャラン著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

ジェイミー・キャット・キャラン
アメリカ生まれ。フランス人である母方の祖母のもとで育ったアメリカ人女性。書籍『セクシーに生きる』(プレジデント社)(http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=1067)は、リアルな告白エッセイとして高い評価を得、たちまちベストセラーとなり、10カ国以上で翻訳されている。ニューヨークタイムズ紙をはじめ多くの新聞雑誌に恋愛指南コラムを執筆するほか、ニューヨーク大学、エール大学、 UCLAでライティングの講座をもつなど、著作以外の活動も活発に行っている。マサチューセッツ在住、気象科学者の夫とともに暮らす。http://www.jamiecatcallan.com