男女平等が当たり前となった現代では、女性が自然な女らしさを示すことはためらわれがちです。フランス人を母方の祖母に持つアメリカ女性、ジェイミー・キャット・キャランは「セクシー」と「フェミニン」を前面に出して生きるフランス女性の価値観を紹介し、アメリカ人女性の意識変化に新境地を開いてみせました。今回は、現代に生きる日本女性が参考にしたい“フランス女性の結婚観”を紹介します。

結婚したら〈片づいた〉ではない

フランス女性は、理想の男性がどこかにいるはずという考え方をしません。

また、2人の記念日とか特別なデートなども、あまり重要視しません。10周年とか25周年といった大きな節目にだけ、家族で小さなパーティをするそうです。

バレンタインデーにも大騒ぎしません。相手をどれだけ愛しているかを〈証明〉しなければならないというプレッシャーは、男女どちら側にも存在しないのです。愛はもっと個人的で、言葉には表せないもの。誰の夫や彼氏がいちばん散財したかを、競争する場ではないのですから。

フランス女性は自分に自信があるので、世間が彼に求める姿ではなく、あるがままを受け容れることができます。彼を改造しようとはしません。

改造するという考え方そのものが、あまりフランス的とはいえません。フランス女性には〈自由放任主義〉という信念があり、たがいの些細な癖や習性は、よいものも悪いものも受け容れようとします。2人が親密な関係になったあとなら、なおさらです。

フランス女性は家族や友人を大切にします。ことに、母親ととても仲よしです。幼なじみや大学時代の友人とも、ずっと連絡を取り合います。結婚後も自分の友人グループをキープします。それらが、新鮮な空気や太陽の光と同様、快適な生活を送るのに欠かせないと知っているからです。理想の男性を見つけて結婚するまでは自分は〈片づいていなくて〉、結婚したら〈片づいた〉という考え方を彼女たちはしません。

「結婚して早く落ち着きたい」――よく耳にする独身キャリア女性のつぶやきです。ところがフランスでは、結婚して落ち着く、片づくという発想はまるでないようです。なぜでしょうか?

〈片づく〉という考え方自体が、フランス的ではないのです。

フランス人のカップルは何年一緒にいても、お揃いのベースボールキャップをかぶったりしません。そういう意味では、お揃いのものは何ひとつ身につけません。考えてもみてください。女性が夫や恋人にとって双子のかたわれのような存在になり、似たような服を着て、やることなすことすべてに同調するようになったら、愛のスパイスはすぐになくなってしまうでしょう。そうなると、男性はよそ見を始めます。あきらめてはなりません。つねに自立し、彼とは別の人間でいるよう努力してください。

結婚生活は〈永遠のもの〉ではない

死ぬまでずっと成長し、変化し、進化しつづける――これがフランス女性の生き方です。新しい趣味を見つけ、情熱を傾ける。夫や恋人のためではなく、自分のために。そしてそのあいだも、外に出て、たくさんの人に会います。もちろん、夫以外の男性にも。つまり、自分の友人関係をキープしつづけるのです。

フランスの既婚女性はさかんにホームパーティをひらきます。さまざまなカップルや独身男女の交流の場をつくるので、夫のほうも気をゆるめていられません。妻がこの世に君臨し、まわりの人たちから称賛されているというのに、自分がよそ見をしたり妻をないがしろにしたりしたら、ほかの男にとられてしまうかもしれない……。

あるフランス女性は、アイルランド人の友人が自分の結婚生活を〈永遠のもの〉と言っているのを聞いて、心底驚いたと言います。結婚の誓いを立てたが最後、すべては不変のものとなり、妻はもう魅力的で女性らしく見せる努力をしなくてもいいと思っているなんて信じられないと。

彼女はこうも言っていました。「男女関係はいつだって始まったばかりのように、そしていつ終わってもおかしくないものとして扱わなければ」

フランス人男性もまた、このように言っています。「フランス女性の謎は、つねに誰かに持っていかれてしまいそうな気がするところだ」

そう、この考え方には欠点があるのも事実です。フランス人の中には、愛人や浮気相手がいる人もいます。この事実そのものが、夫や妻の警戒心と、夫婦間の情熱を保つのに役立っているようです。

フランスでは、結婚やパートナーとの生活に安心しきってしまう人はいません。いつもどうすれば自分がよく見え、格好よく行動できるかを考えて、一生懸命に努力します。そしてつねに、自分を称賛してくれる人を探し求めています。ときにはそれが愛人や浮気相手だったりします。ただ、アメリカ人が思っているほど浮気に寛大ではないこともつけ加えておきましょう。

※本連載は書籍『セクシーに生きる ――年を重ねるほどに、フランス女性が輝きを増す秘密』(ジェイミー・キャット・キャラン著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

ジェイミー・キャット・キャラン
アメリカ生まれ。フランス人である母方の祖母のもとで育ったアメリカ人女性。書籍『セクシーに生きる』(プレジデント社)(http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=1067)は、リアルな告白エッセイとして高い評価を得、たちまちベストセラーとなり、10カ国以上で翻訳されている。ニューヨークタイムズ紙をはじめ多くの新聞雑誌に恋愛指南コラムを執筆するほか、ニューヨーク大学、エール大学、 UCLAでライティングの講座をもつなど、著作以外の活動も活発に行っている。マサチューセッツ在住、気象科学者の夫とともに暮らす。http://www.jamiecatcallan.com