男女平等が当たり前と思われるようになった現代は、女性が自然な女らしさを示したり、男性がそれを褒めたたえたりすることがためらわれる社会でもあります。フランス人を母方の祖母に持つアメリカ女性、ジェイミー・キャット・キャランは「セクシー」と「フェミニン」を前面に出して生きるフランス女性の価値観を紹介し、アメリカ女性の意識変化に新境地を開いてみせました。その中から日本女性にも活用できる“人生をあるがままに楽しむためのテクニック”を探していきましょう。

ときに感傷的に、ときに論理的に

フランス女性は現実的です。彼女たちは小さな頃から、いつまでもおとぎばなしを信じないよう教えられます。愛や結婚について語る彼女たちを見ていると、ときにはシニカルに感じられるほどです。わたしはどちらでもかまわないのよ、というポーズをとっていたかと思うと、突然、狂ったように激しい愛におぼれる……そしてその愛を大げさに語る様子は、純情以外の何ものでもありません。この激しさが、男を夢中にさせるのです。

感情的なだけでもだめ、合理的なだけでもだめ。両方を併せ持つ「うらはら」具合が、女性の魅力を高める!?

わたしたちだって、複雑な激しさを秘めています。突然気が変わって、予定していなかった行動をとることなどしょっちゅうです。自分でも驚くような行動をとることがあります。それでわたしたちの魅力はだいなしでしょうか?

とんでもない。こうした気まぐれは、男性の心を惹きつける、愛すべき魅力です。ただ、女性の社会進出のために努力してきたわたしたちは、こうした不安定さを自分たちの中から排除したのです。

でも、ラブ・ライフにおいても排除する必要はなかったのでは?

もともと女性にそなわっている資質ならば、仕事以外での多少の気まぐれが悪いはずはありません。それをマイナス面とは思わず、女性に与えられた素晴らしい特権だと考えてはいかがでしょうか?

同情的で感傷的だったかと思うと、突然冷徹なまでにロジカルで現実的になったっていいのです。わたしたちには右脳と左脳を同時にうまく使いこなすという、女性ならではの能力がそなわっています。その恩恵を享受しましょう。

フランス女性(というよりヨーロッパの女性)は、アメリカ人女性よりもずっと、感情豊かで情熱的でいることが〈許されている〉ように思えます。男性は、女性が女性であることの一部分として、その気分の変わりやすさを受け容れているように見えます。アメリカ人男性にもそうなってもらうには? 彼らを訓練する必要があります。その第一歩は、わたしたちが感情を表にあらわしながら、気分次第でクールに合理的にふるまうことです。

聡明な女性が男心をつかむ

わたしたちは経済的に困難な時代に生きています。自分で生計を立てていかなければならず、物価は高い。それなりの教育を受けたあとは、自分で自分を養っていかなくてはなりません。誰かが助けにきて、必要なお金を払ってくれるのを期待するなんて甘すぎます。それに、世の中の男性は(フランス人男性さえも!)、ある程度のお金を稼げるぐらいの知性を持ち合わせた女性を好むのです。

ロマンティックとはほど遠いと思われるかもしれませんが、どんな男性も、末永く一緒にいようと思う女性を選ぶ際にはかならず考慮に入れることです。いい生活をするためにお金を稼ぐ能力があって、家計を支えることができる知的な女性を求めているのです。

ですから、あなたの知性を押し隠す必要などありません。フランス女性はもちろん隠したりなんかしません。自分の世慣れた様子や知的好奇心が、男の心をとらえて離さないのを知っています。

男は、女を〈自分のものにした〉と思った瞬間から彼女への関心が薄れ始めることを、フランス女性は知っています。彼女を手に入れたと思ったときから、彼は彼女に飽き始め、追いかけるのをやめてしまう。だからこそフランス女性は、自分の夫に対してさえも、少しだけミステリアスな部分を残しているのです。たとえば毎日のルーティンを少し変えてみたり、新しい舞台を観にいったり、郊外でのコンサートに行ったり、というふうにです。

フランス女性は夫や恋人ぬきでの小旅行にもよく出かけます。彼女たちは夫や恋人との関係に〈もたれかかる〉ことなく、少なくとも精神的に自立しています。

聡明な女性はマンネリを打破する方法を心得ています。髪型を変える(ウィッグをつけてもいいでしょう)、エキゾティックな料理をつくる、外国語を習うなど、ちょっと日常を変えるだけで自分への関心を取り戻すことができます。このような変化に、男は警戒します。彼女はまだまだミステリアスで、自分はまだ彼女を充分に理解していなかったのではないか。油断せずに見張っておかないと、もっと魅力的で積極的な誰かに奪われてしまうかもしれない、と気を引き締めるのです。

※本連載は書籍『セクシーに生きる ――年を重ねるほどに、フランス女性が輝きを増す秘密』(ジェイミー・キャット・キャラン著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

ジェイミー・キャット・キャラン
アメリカ生まれ。フランス人である母方の祖母のもとで育ったアメリカ人女性。書籍『セクシーに生きる』(プレジデント社)(http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=1067)は、リアルな告白エッセイとして高い評価を得、たちまちベストセラーとなり、10カ国以上で翻訳されている。ニューヨークタイムズ紙をはじめ多くの新聞雑誌に恋愛指南コラムを執筆するほか、ニューヨーク大学、エール大学、 UCLAでライティングの講座をもつなど、著作以外の活動も活発に行っている。マサチューセッツ在住、気象科学者の夫とともに暮らす。http://www.jamiecatcallan.com