女性を本気で伸ばしたい会社と口先だけの会社は、どこが違うのでしょうか。どうすれば見極められるのでしょうか。
「女性管理職比率」や「役員比率」だけでは見えてこない、企業の“本気度”がわかる独自の格付け方法を編み出しました。
結婚したら辞めると決めている人は、この企業
※昭和な企業とは? 格付けのA~Cの定義とは?
【あなたが働く企業はどのタイプ? 6つのタイプ別「企業の特徴」http://woman.president.jp/articles/-/788】を参照
このタイプの企業は、WLB重視型企業と同様で、総合職採用の女性比率が低いのが特徴です。やはり、今でも男性社会が根強く残るといえるでしょう。このタイプだけの特徴を書いておきます。
[1]新卒入社3年の定着率は悪くない
80%以上の採用者が残っている企業です。ここが、サバイバル型やブラック的企業とは異なります。無理なく働ける社内環境なのでしょう。
[2]勤続年数は短い
入社からの定着が良いのに、平均勤続年数は短い。
[3]女性の既婚率が低い
●腰掛け勤務から抜け切れない企業群
いまだに寿退社が多いことが勤続年数を短くしているのです。前述のWLB重視型は結婚しても長く働けました。そこが異なります。「女性は腰掛け勤務」という昭和の考え方から抜けきれていない企業群といえそうです。
もともと、多くの日本企業はこのタイプだったものが、女性活用にかじを切ることで、他のタイプへと移行していきました。つまりこのタイプには、“出遅れ企業”が残ったと考えられます。
ではなぜ「出遅れた」のか。
[ハードな仕事だったため]
昼夜を問わず働き続ける(商社、IT)。ノルマや顧客からのプレッシャーが大きい(建設)。こうした仕事のため、女性を危険な目に遭わせたくないという配慮から女性活用が進まなかったと考えられる企業(6社)。
[不人気で女性が集まらなかった]
地方のB to B企業、漢字表記で業態がわからないなど、女性を採りにくく、男性社会が続いた企業(5社)。
この2つのどちらかに11社が該当します。残りの4社は、食品メーカー(2社)、医薬品メーカー(1社)、流通業(1社)。いずれも、女性の人気が低くない業界であり、同業他社では女性登用が進んでいます。ということは、これら4社は、やむにやまれぬ事情があったわけではないのに、出遅れているということです。それだけ、昭和的価値観が強いともいえそうですね。
社員が告白! データには出ない本当の話
Aさん:山崎製パン 50代男性「工場は朝が早くトラブル対応も必要。女性管理職はほとんどいません」
Bさん:山善 20代女性「体育会系的なノリの男社会の会社ですね。ついていくのは大変!」
※取材協力者は「キャリコネ」を運営するグローバルウェイを通じて募集。
●子育て期のママには勤まらない仕事も
「ほとんどの女性は定時に帰れますし、管理職になる女性も少ないし、転勤もありません。結婚や出産をしても働き続けられるし、女性にとっては居心地のよい会社だと思います」
こう語るのは山崎製パンの50代の男性社員Aさん。
大卒総合職の女性比率は低く、役職者の女性比率は1%未満と典型的な昭和の男性中心型の会社だ。女性役職者が少ないのは業務上の制約もある。
「営業部門は取引先担当の営業課、トラックで商品を届けるセールス課、商品の仕分けを担当する製品管理課に分かれますが、セールス課は運転だけではなく、重い荷物を店舗に納品する業務もあります。とても女性には勤まりませんし、100人以上の社員のうち女性は事務の数人程度。営業課の管理職もほとんどが男性です」
●女性管理職は未婚か子どもがいない
しかも管理職ともなれば、毎日激務のようだ。同社の就業時間は朝の8時15分から夕方の5時15分。しかし「工場長は朝5時前、その下の管理職も5時ぐらいに出勤し、朝の6時30分頃から定例の会議が始まります。本社も朝の7時には全員そろっているんです」というから驚く。とても子育てしながら管理職を目指すというイメージは湧いてこない。
もちろん女性管理職もいるが「結婚をしていないか、していても子どもがいない40代が多い。彼女たちは、もちろん仕事はできますが、叱るときは男性以上に厳しいです」。
若い女性のロールモデルというより、やはり昭和の香りが漂う。だが、管理職にならなくても仕事のやりがいはあるという。
「直営の焼きたてパンの店舗を巡回し、検品や新製品の指導やクッキング教室で簡単に作れるメニューの提案をする女性社員もいます。女性の強みを活かして仕事にとりくみ、やりがいを感じて長く働き続ける人もいます」
定時退社に加えて給与も魅力。給与は年齢給と資格給で構成される典型的な年功型となっている。
「資格給は管理職にならないとストップしますが、年齢給がついて月給とボーナスで最高年収500万円。それにプラス残業代が入る」という。決して悪くはない。
そんな女性社員の処遇と一部上場の格と知名度の高さに魅力を感じてか、「主要な取引先から娘を面倒見てくれないかと頼まれ入社してくる」コネ採用もあるという。
●体育会系のノリについていくのが大変
居心地のよさではひけをとらないのが、工作機械などを扱う専門商社の山善だ。1947年創業の東証1部上場企業ではあるが、女性従業員比率は30%弱に対し勤続年数は6年少々、役職者比率は1%未満。昔の腰掛け企業の面影を残している。
20代の女性社員Bさんは、職場の雰囲気をこう語る。
「良くも悪くも体育会系的なノリの男性社会の会社。飲み会も多いですし、このノリについていくのは結構大変です。女性のほとんどは、営業アシスタントか一般事務職。総合職で入る女性が極めて少ないし、女性の管理職もいません」
創業者は1970年代に小説『どてらい男(ヤツ)』の主人公のモデルになり、テレビドラマ化されたことでも有名だ。まさに同社の社風を物語る作品だった。
職場は90年代以前の総合商社のイメージだが、女性社員の居心地は悪くない。給与制度も年功的で毎年の定期昇給もある。
「男性陣は体力にものをいわせて遅くまで仕事をしていますが、管理系の女性は定時に帰れます。帰りが少しでも遅くなると、逆に気をつけてねと声をかけてくれる。仕事で困っているときも、積極的に手伝ってくれます。すいませーん、わかりません、とちょっとぶりっこするだけでやさしく接してくれるんです」
職場全体がアットホームな雰囲気のせいもあるのか「社内恋愛から結婚に発展するケースも多いです。結婚後は女性のほうが退職するというパターンが多い」という。