まだ老後まではかなり間がある30~40代でも、すでに将来スーパープアになりそうな気配の人も……。実例を挙げてスーパープアの特徴を検証しましょう。(アドバイスしてくれる人:家計再生コンサルタント・FP 横山光昭さん)

CASE2:教育費重荷型プア

●会社員(派遣)スーパープア予備軍B子さん(39歳)
【家族構成】夫・子どもの3人家族【住居形態】持ち家(ローン11万円)【年収(手取り・夫婦合計)】560万円【月収(手取り・夫婦合計)】41万円【ボーナス(年間合計)】70万円【毎月の貯蓄額】0~1万円【年間の貯蓄額】?万円【資産総額】約120万円(内訳:普通預金100万円、外国為替証拠金取引(FX)口座に20万円)

●教育費がかさみ始めて不安増大。この先の老後を考えられない!

イラスト=中根ゆたか

夫婦共働きのB子さんは派遣社員。2歳年下の夫は正社員ながら退職金がないと想定され、今から老後が不安な状態。持ち家の住宅ローンは夫が70歳のとき完済予定で、繰り上げ返済が必須ながら現状は余裕がない。小学5年生の子どもが塾に通うようになり、なおかつ夫が私立中学を受験させようと言いだしたのが余裕のない理由。このままではあと10年以上貯蓄できる見込みがないけれど……。


【BAD POINT1】投資のことを簡単に考えすぎるのは失敗のもと!
少しだけ外国為替証拠金取引(FX)の投資経験があるB子さん。「家計立て直しのためにFXへの投資を考えているようですが、絶対ダメ! 投資するならもっと勉強すべきだし、今は貯蓄するほうが先。赤字家計を投資で一発逆転という危険な発想は捨てましょう」
▼アドバイス
「投資はあくまで余裕資金で。生活費が赤字の人は、そちらを再建してから検討すべきです」


【BAD POINT2】夫婦で家計管理に関して意思の疎通ができていない
夫はお小遣い制で、家計管理はB子さんの担当。「この状態で『私立を受験させよう』と旦那さんがのんきに言うのは、家計を把握していないから。夫婦が同じ方向を向き、協力して臨むことが貯蓄の早道です」。子どもの教育費のかけ方など、話し合いの余地は多そう。
▼アドバイス
「とにかく家計の現状を夫に伝えて。そうすれば一緒に現実的なお金の使い方を模索できます」


【BAD POINT3】毎月定期的に貯蓄ができていない
月の貯蓄が0円、マイナスの月もあるB子さん。「『毎月いくら貯蓄する』と決めないと、なかなか貯蓄を増やすことはできません。家計がマイナスになるのは、管理が不十分な証拠。財形などの強制貯蓄を始めたり、家計簿つけをしたり……といった工夫が有効です」
▼アドバイス
「B子さんの場合、あまり乗らない車があるそう。まずは固定費の見直しから始めてみては」

「スーパープア」予備軍の人の特徴

家計再生コンサルタントとして、さまざまな家計を目の当たりにしてきた横山光昭さんによると、お金をためられない人にも、反対にうまくためている人にも、それぞれに共通点があるといいます。

「まずためられない人は、将来が見えていない。30~40代くらいは何かとお金がかかりやすい時期なので、今やりくりすることで精いっぱいという人も多いかもしれませんが、年金以外定期収入がなくなる老後に困窮したくなければ、今から蓄えるべきです。長い人生、生きていく限りずっとお金はかかり続けるということを忘れ、目先の欲望に駆られている人は、間違いなくスーパープア予備軍です」

イラスト=中根ゆたか

特に危ないのは、身の丈に合わない住宅ローンを組んでいたり、自己投資や子どもの教育費にお金をかけすぎたりしているタイプ。

今挙げた高すぎる住宅ローン、自己投資、教育費は“家計を破壊する3大要因”と言っても過言ではないとか。

「住宅ローン、あるいは賃貸の家賃もそうですが、住居費はせいぜい月の手取りの4分の1以内に抑えるべきです。それに、毎月満足に貯蓄ができないほど自己投資や教育費にお金を使うのは、やっぱり間違っていると判断すべき」

また、家計簿をつけず、家計の収支をあまり把握していない人も、スーパープアの危険性があるそう。

「ためている人は、大まかにでも家計の収支を把握しています。自分が1カ月あたり何にどれくらいお金を使っているか知ることは、資産形成をするうえでの基本。今ためられていない人は、まず家計簿などで収支の内訳を把握し、ムダな支出を洗い出す作業から始めてください」

【まとめ】地味だけど……やっぱりコツコツ家計管理は重要!

家計再生コンサルタント・FP 横山光昭(よこやま・みつあき)

株式会社マイエフピー代表取締役社長。独自の家計再生プログラムを提唱し、実際に何千もの問題家計を再生してきた家計管理のプロ。近著は『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』(新潮社)。