対象者は、退職前の2年間に雇用保険に1年以上入っている人

厚生労働省は2015年10月30日、2012年3月に大学を卒業した就労者の離職状況調査を公表しました。新卒から3年以内に就職先を辞めた人の割合(離職率)は32.3%だったそう。3年連続の30%超えだそうです。

苦労して新卒でせっかく入った会社を3人に1人は辞めてしまうなんて……と思う一方、この若者たちに雇用保険の失業給付が出るのかしら……と心配になりました。

失業給付がもらえるのは、会社に2年以上勤めていて、雇用保険に1年以上入っている人です。つまり新入社員は失業給付をもらえませんが、丸2年勤めれば少しはもらえます。

失業給付の計算は意外と簡単です。会社員の人は、今、会社を辞めたらいくら失業給付がもらえるのかを計算してみませんか。その計算方法を伝授します。

退職理由が「自己都合」と「会社都合」では金額が異なる

若者に限らず会社員なら誰にでも突然襲ってくるかもしれないのが、リストラや会社の倒産。自分から会社を辞めるにしても、収入が一時的に途切れる心配があります。そんな時に頼りになるのが雇用保険の失業給付です。

離職後、失業給付をもらうには、再就職をする意思があることが前提です。離職票を持って住まいを管轄するハローワークにいき、求職の申し込みをします。

失業給付は、自分から会社を辞める「自己都合」と、リストラや倒産など会社の理由によって辞める「会社都合」によって、もらえる金額が異なります。また、自己都合だともらえるまでに7日間+3カ月の待期期間があります。自分の都合で会社を辞めるのだから、生活費の都合はついているよね、との理由からでしょう。「会社都合」の人には、7日間の待期期間を過ごした後、給付が行われます。

給付日数は「年齢」と「勤続年数」によって異なる

ではここから会社員35歳のA子さんを例に、具体的な計算に入っていきましょう。

【A子さん】会社員(35歳)/退職前の給料:月32万円/勤続年数:10年以上

●計算1

A子さんの退職前6カ月の給料の合計をします。ここにボーナスは含みませんが、残業代は含みます。

A子さんは残業をしないので、

32万円+32万円+32万円+32万円+32万円+32万円=192万円

退職前の6カ月間、残業をたくさんすれば失業給付は多くなります。

●計算2

退職前6カ月の1日分の給料を出します。

192万円÷180日=1万666円

これを「賃金日額」といいます。A子さんはこの6カ月間、土日も計算に入れて、1日1万666円稼いでいたわけですね。

●計算3

表を拡大
失業給付の給付日数

表にある「賃金日額」から給付率を調べ、「賃金日額」に掛けます。A子さんの給付率は50~80%なので、目安を知るために50%とします。

1万666円×給付率50%=5333円

これを「基本手当日額」といいます。

●計算4

表にある失業給付の日数の表から調べ「給付日数」を、「基本手当日額」に掛けます。

A子さんは勤続10年以上、35歳なので自己都合で会社を辞めるなら、7日間+3カ月の待期期間後、最大もらえる失業給付の金額は、

5333円×120日=63万9960円

会社都合で会社をやめるなら、7日間の待期期間後、最大もらえる失業給付の金額は、

5333円×240日=127万9920円

となりました。失業中の生活費は再就職するまでを支えてくれる失業給付を使って、ピンチからなるべく早く抜け出すよう就職活動をしましょう。

失業給付期間中の注意点

最後に失業給付を受け取るときの注意点を挙げましょう。

★もし、あなたが結婚や出産などで働く気がないのに失業給付をもらいたいと思っても、そううまくはいきません。失業給付をもらうためには再就職をする積極的な意志と能力が必要です。ハローワークで求職を申し込み、企業説明会に参加する、求人へ応募する、各種講習やセミナーを受けるなどの必要があります。

★失業給付を受給中に短期間のアルバイトをしたい場合は、失業認定報告書のカレンダーに○印をつけてアルバイトをした日の申告をします。アルバイトの日は失業の状態ではないので基本手当はもらえませんが、就業手当をもらえる場合があります。また、アルバイトで受給しない日数分は、あとに持ち越せます。

★失業給付をもらうためには、ハローワークで4週間に1回の指定日に失業認定を受ける必要があります。やむをえない理由がなく認定日にいかなかったら、前回認定日以降の失業認定を受けることができません。認定日にうっかり旅行などにいってはダメですよ。認定日にいけなかった場合は、すぐに認定を受けていないことを申し出て、職業相談を受けてください。

★もし、働きながら失業給付をもらい、それがハローワークにバレてしまったら、それまでにもらった金額は全額返金し、さらにその返済額の2倍の額を納付、つまり全部で実質3倍の返納を命ぜられることがあります。

脅かすわけではありませんが、ハローワークでは一定の割合で不正受給の調査を行っています。不正受給はやめましょう。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。