「結婚後も仕事を続けたい!」と願うなら、相手選びが最重要。婚活アドバイザーの大西 明美さんは、「自分自身のキャリア観を再確認した上で、アプローチしてはならない男性とすべき男性を戦略的に分別すべき」といいます――。

キャリアを積むには、「今の仕事を続ける」しかない?

結婚後もキャリアを継続し、伸ばせるかどうか。これはバリキャリ志向の女性が出産、育児を念頭に置いて結婚を考える際、非常に重要なテーマになります。「働き続けることを認め、応援してくれる相手をパートナーにしたい!」という気持ちで、婚活をしている人はたくさんいます。

「結婚しても仕事を続けたい!」。そんな望みを実現するためには、相手選びから戦略を立てることが重要です。

しかし、多くの人は婚活の方法を間違えています。アプローチの段階で、結婚しても仕事を続けられるかどうか、特に今の職場にいることを前提に男性に尋ねる──これは誤りです。どこが間違えているのか。詳しくは連載第3回「『結婚後も当然働く!』そう思う女性が婚活でやるべき3つのこと」(http://woman.president.jp/articles/-/573)にて、詳しくご紹介していますので、そちらをご覧ください。

では、どういうアプローチをとればいいのか。まず考えなければならないことは、「そもそもあなたにとって、キャリアとは一体何なのか」ということです。「仕事を続けることに決まっているじゃないの?」と言われそうですが、キャリアを積む方法は、今の仕事を続ける以外にはありませんか?

■出産、育児後に復帰しやすい同業他社や同職種などに転職する
■独立、起業して、自分のペースで仕事をする
■実は、今の仕事とは関係なくほかにやりたいことがあり、必ずしも今の会社にいなくてもよい

……など、今の会社に居続けなくても、自分が満足できそうな道がほかにないか、シミュレートしてみてください。「絶対、今の会社!」というわけでなければ、「全国転勤の可能性がある男性との結婚も考えられる」というように、婚活における選択肢が広がります。キャリアを見つめなおすことで、働き方だけではなく、婚活のお相手という点でも人生の選択肢を広げることができます。

それでも今の仕事を続けたいあなたが、選ぶべき男性とは?

ここまで自分のキャリア観が整理できたら、準備はOK。いよいよ婚活です。まずは女性がキャリアを積むという観点からは選んではいけない男性3タイプをご紹介します。

1. 年収600万円から800万円の男性

独身未婚の男性のうち、年収600万円以上は10%もいません。ましてや、20代、30代でここまで稼いでいるのは“選ばれた人間”ということになります。

こういった男性は野心があります。ですので、自分の野心をバックアップしてくれる、つまり家庭を中心に考えてくれる女性を選びます。また、これだけの高収入の男性は、婚活女性に大人気ですので、家庭に入ることを辞さない女性が群がります。働く女性のキャリアアップを妨げる上に、競争率も高い。競争に勝ち、結婚できたとしても、いつ仕事を続けられなくなるか分からないという危険が常につきまといます。わざわざ狙う相手ではありません。

ちなみに、これらの年収で共働きを積極的に希望する男性は、ものすごくケチな可能性が高いです。独身時代の贅沢を続けたい、貯金を減らしたくないという理由から共働きを望むケースも少なくないからです。男性のケチさを「地に足が着いていて、現実的でよい」「“なんでも割り勘”でもオッケー」と考えられる人以外は、不満の多い結婚生活となるかもしれません。

2. 女性の学歴を気にする男性

「職歴」ではなくて、「学歴」というところがミソです。5年、10年、20年前の学歴に何の意味があろうかと思われるかもしれません。しかし、「女性よりも偉い立場にいたい」と考える男性にとっては重要なことなのです。この手の男性は、結婚すると「夫は妻よりも偉くなくてはいけない」ということで、妻のキャリアの足を引っ張る可能性があります。

ただし、「女性のほうが男性よりも学歴が上」であることを、笑いに変えて話題にできる人は除きます。自分を下げることで周りを笑わせる力がある男性ならば、女性が出世すればするほど、それを自分のことのように喜んでくれます。

3. 10歳以上年下の女性ばかりをターゲットにするアラフォー、アラフィフ男性

いろいろデリケートな事情をはらんでいる場合もありますが、これらの男性の多くはすぐに子どもを望みます。女性の都合を無視してかかり、キャリアプランを台無しにする恐れがあります。

また、若い女性ばかりを選ぶ理由が、同世代や年上の女性相手だと、自分の思い通りにならないからという可能性があります。つまりこういった男性は、若い女性だと主導権を握りやすく、自分の管理下に置きやすいと考えているのです。これでは、対等な関係で、お互いの仕事を支え合いながら、ともに育児をしたいと考えるバリキャリ女性とは相容れません。

対等の関係とは、相手のアイデンティティに敬意を持つことから始まる

それでは、逆に女性がキャリアを積むのに適した男性3タイプをご紹介します。

1. 年収1000万円以上で、結婚相手として同世代も対象にしている男性

高年収で、同世代を結婚相手として視野に入れている男性は、女性の若さよりも対等な関係を優先させます。この国で年収1000万円以上を稼ぐには、特別な知性、野心、教養が必要となります。彼らは、いくら若くてきれいでも仕事の話が全く通じないような女性をパートナーにすると、だんだん退屈になることを知っています。また、好奇心が旺盛なので、仕事に一生懸命なバリキャリ女性の世界に興味を持ちます。そして基本的に自分に自信があるので卑屈になることなく、純粋に女性を応援する余裕を持ち合わせています。

「あれ、1000万円以上の男性も自分のキャリアが大事なんじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、実は先ほど述べた"年収600万円から800万円の男性"とは大きく異なる点が1つあります。それは、女性のキャリアのために、男性が育児や家事の代行を認めるケースが増えることです。

年収が1000万円を超える男性は、節約よりも費用対効果を重視します。ですので、自己投資として何十万円もするセミナーに参加するのと同じように、ベビーシッターやお掃除サービスを活用します。バリキャリ女性の輝きを維持するために、育児や家事の代行など、普通の家庭ではかけなくてもすむコストを、「家庭への投資」として考えられる──目先にとらわれることなく、2人の将来のため、今必要なことに投資できるのが年収1000万円以上の男性の特徴です。

2. 年収300万円台で、3歳から5歳年下の男性

なかなか目が向きづらいかもしれませんが、「結婚後も仕事を続けたい」という希望をかなえるには、非常に適した男性です。年収300万円台だと、共働きでなければ子供を育てることが難しい経済状況になります。現実的に、お相手が働いているということが重要になります。男性が正社員であっても、勤務している会社自体が不安定であることも多いがゆえに、バリバリ働いている妻の存在が励ましとなります。また、年長者を敬う文化があるこの国では、夫婦関係においても年下の男性が、年上の女性の意思を尊重する傾向があります。しかも、年収300万円台となると、同世代の女性から結婚相手として選ばれることが難しいことを知っているので、年上の女性も対象に入れる人が多くなります。

「3歳から5歳年下」という年齢設定の理由ですが、あまりにも年が離れると、人生経験の差や世代間ギャップから会話が噛み合いにくくなります。それによって、交際中に男性の目が若い女性に行きやすくなる危険性が生まれます。3歳から5歳くらいの年齢差であれば、時代性が共有できており、また女性のほうが若くみえることが多いので、周囲からの視線に対して引け目に感じないですむという利点もあります。10歳、20歳離れていても、この先ずっと引け目を感じないというのであれば、いくら年下の相手を選んでも構いません。そもそも恋愛で年齢に引け目を感じる必要なんてないのですから。

3. なんでも割り勘の男性

割り勘というのは、ケチ、気が回らないというイメージが付きまといます。しかし、そもそもごちそうをしてもらうというのは対等な関係ではありません。対等であるということは、快適なことばかりではなく、お互いが同じように痛みを伴う関係とも言い換えられます。ですので、交際中に金銭的な面で女性に対等な関係を望む男性は、パートナーがキャリアを積むことを望む男性である可能性がとても高いです。

しかし、注意事項があります。このような男性にプロポーズされたら、「私は今の仕事を辞めたくありません。子育てをどちらかに押し付けずに一緒にやっていくことを約束できますか?」と、その場で切り出すことが大事です。そこで、一瞬でも難色を示すならば、ただのケチな男として、結婚を考え直したほうがいいかもしれません。

と、ここまで説明をしてきましたが、一番大切なことは「バリキャリ女性にとっての仕事とは“ただの仕事”ではなく、アイデンティティである」、ここを男性に理解してもらうことです。ぜひその点を見極めて、結婚相手を選ぶ目を養ってくださると幸いです。

大西明美

婚活アドバイザー。結婚相談所を経営。1977年大阪府生まれ。東京都文京区在住。過去20年で延べ4万3000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。小中学校ではイジメを受け友達がいなかったため、周囲の人間関係を観察することを目的にして登校を続ける。特に恋愛に注目してコミュニケーションを学ぶ。高校生のとき、初めてできた友人に恋愛相談を持ちかけられ、日頃鍛えた人間観察眼を生かしたアドバイスを行い、無事に解決。それをきっかけに恋愛相談が立て続けに舞い込むようになる。婚活指導を通して、5年間で200組以上のカップルを成婚へと導いている。著書に『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)がある。