あちこちで大規模再開発が進行中の東京

現在、東京都心のあちこちでは古いビルが取り壊された跡地に巨大なビルが次々と新築され、その地域全体の大規模再開発が進んでいます。

思いつくだけでも、東京駅を中心とした丸の内側、八重洲側は、電車の窓からビルがどんどん壊され、現在は基礎工事をやっている様子がよく見えます。渋谷駅周辺では4つの再開発事業が同時進行中で、駅周辺は長期間の工事中(完了するのは2027年予定)。また、山手線の田町駅と品川駅の中間には新駅ができることが発表され、新駅と合わせて約13haという都心の巨大な敷地に新しい街が誕生します(駅は2020年開業予定)。

これらの大規模再開発は東京オリンピック2020が決まる前から決まっていたものでしたが、オリンピック決定で弾みがつき、開業を間に合う部分だけでも間に合わせたいと、工事が前倒しになっているそう。湾岸地域に関しては、競技場と選手村、タワーマンションなどの建設が急ピッチで進んでいるのはご存知の通りです。

これらの新築ビルの中には、完成後、「J-REIT」に組み入れられるものがいくつかありそうです。「J-REIT」とは、不動産に投資する投資信託のこと。個人でも小口で購入できることがポイントです。株式市場には、2014年10月に決定された日銀の追加金融緩和策において、J-REITの買入れ額が年間300億円から900億円へと従来比3倍に増額されました。株式市場には15年もこの額が注入され、相場の下支え要因のひとつとなっています。

実は、日銀も買っているJ-REITは個人でも買うことができます。今回は、内容が理解しにくいJ-REITの基本のキを紹介します。

年3~4%台の利回りがあるJ-REITの分配金

そもそもJ-REITとはなんでしょうか?(この言葉を初めて聞く人で、「Jリーグ?」と聞き間違える人もいますが、名前が似ているだけでまったくの別物です)。

J-REITとは、「Japanese Real Estate Investment Trust」の頭文字をとったもので、日本語では「不動産投資信託」と呼び、不動産への投資を証券化した金融商品です。

投資信託という名前がつくことからもわかるように、不動産投資法人(運営会社)が多数の個人投資家から集めた小口の資金をもとに、オフィスビルや商業施設、タワーマンションなど複数の不動産を購入し、購入した不動産の管理・運営を行います。そこから得られる家賃や売買益などを分配金として投資家に支払う仕組みとなっています(図参照)。

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J-REITの仕組み

運営会社は経費を除く収益の90%超を分配すれば法人税が免除されるため、実際に収益のほとんどは決算期ごとに投資家に分配されています。決算期は年2回のものが多く、この定期的にもらえる分配金がJ-REITの大きな魅力なのです。

ちなみに、現在の分配金の利回りは3~4%台と、株の平均配当利回り(東証1部1.5%予想。2015年7月末現在)よりも高いところで推移中。なぜなら、J-REITは不動産の賃料収入が主な分配の原資です。とはいえ、空室になってしまうと賃料が入ってきません。そこでJ-REITは多くの不動産に投資することで、空室のリスクを分散しています。そのため、J-REITの分配金は比較的安定的に支払われる傾向があるのです。今後、景気回復が鮮明になれば空室もなくなり、もっと分配金が増えることも考えられます。

J-REITの母体は主に不動産会社。星野リゾートやイオンもある

では具体的にどんなJ-REITがあるのか紹介していきましょう。

たとえば「ジャパンリアルエステイト投資法人」の母体は三菱地所です。「ジャパンリアルエステイト投資法人」というのがJ-REITの名前で、その中には北の丸スクエアや汐留ビルディング、赤坂パークビル、三菱UFJ信託銀行本店ビルなど有名なビルが組み入れられています。

「日本ビルファンド投資法人」の母体は三井不動産で、NBF大崎ビルやゲートシティ大崎、西新宿三井ビルディングなどのオフィスビルが入っています。

身近なところでは、「イオンリート投資法人」の母体はもちろんイオンで、イオンレイクタウンmoriやイオンモール倉敷など、スポンサーとメインテナントが同一である銘柄です。

「星野リゾート・リート投資法人」では星のや軽井沢やリゾナーレ八ヶ岳など、星野グループの物件に積極的に投資。ちなみに星野リゾートは現在、大手町のビジネス街に日本旅館を建設中。外国人観光客をターゲットにした、地下3階、地上18階の旅館(ビル)で、2016年度に開業を予定しています。こちらがJ-REITに組み入れられるかどうかは、まだわかりませんが、不動産業界、あるいは旅行業界では大きなトピックスとなっています。

同様に、「オリックス不動産投資法人」「東急リアル・エステート投資法人」「野村不動産オフィスファンド投資法人」「森ヒルズリート投資法人」など、日本の名だたる不動産会社のビルが組み込まれているものから、物流の倉庫に特化している「日本ロジスティクスファンド投資法人」などもあります。最近では主たる投資対象をヘルスケア施設とした「日本ヘルスケア投資法人」や、有料老人ホーム及びサービス付高齢者向け住宅を組み入れた「ジャパン・シニアリビング投資法人」も登場しました。

現在、J-REITは54本あり、時価総額は市場創設来初めて10兆円を突破しました。不動産投信情報ポータル(http://www.japan-reit.com/)には、現在の価格や分配金額、利回り、組み入れ不動産の一覧表がありますので参考にしてください。

小口の不動産投資で有名ビルのプチ大家さんになろう

さて、これらのJ-REITをどのように買うかというと、株と全く同じように購入できます。J-REITは東京証券取引所に上場しているのです。価格が安いときに購入し、値上がりしたら売却して売買益を狙うというのも、株式投資と同じです。

その投資金額はというと、株価に相当する投資価格は1口当たりは数万~60万円ほどで、1口単位で売買できます。つまり、数十万円で都心の超一流のオフィスビルや、大きな商業施設のプチ大家さんになれるというわけです。

J-REITの売買で狙うのもよいですが、先ほど紹介したJ-REITの分配金の利回りは1口当たりの年間分配金を投資口価格で割ったものであり、総じて高い水準で動いているので、中長期で保有し、毎年安定した分配金を確保するのもよいでしょう。

業界の展望では、東京オリンピックまでは不動産投資の活性化していくとの見方があり、J-REIT市場も大いに賑わうとの予想。ただし、上がりそうという雰囲気だけで買うのではなく、銘柄選択は資金規模の大小や投資物件の種類、分配金の利回り、過去の運用実績やどんな不動産が組み込まれているのかを参考にして投資してください。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。