Love Fashion. Love Shose. Hate Heels!
おしゃれ大好き。靴大好き。ハイヒール大嫌い。ロンドンの人気ファッションエディター・ハンナが書いた“ぺたんこ靴”のバイブル『フラットシューズ宣言』を、おしゃれとお金の賢い関係を綴った『ケチケチ贅沢主義』の著者・muccoが初翻訳。
どんなシーンにも合って履き心地抜群、ストレスフリーな靴が大集合したこの書籍からの抜粋を、ちょい読み版としてご紹介。PRESIDENT WOMAN Online描き下ろし&撮り下ろし、ハンナの最新お気に入りシューズもレポート!

Pointy pumps (ポインティパンプス)

Office(オフィス)

仕事の面接や60年代シックで決めたいパーティなどで頼りになるきちんとした靴がこれ。つま先の尖ったポインティパンプスだ。ハイヒールを履かずにこうした機会を乗り切ろうと決めたわたしにとって、この靴は強力な味方となった。プラットフォームシューズを捨てようと決心したとき苦労したのが、結婚式や仕事での大切なミーティングにふさわしい靴を見つけることだった。これならつま先が尖っているおかげで、ヒール靴のきちんとした気分が味わえる。女性はピンヒールを履くことで群れを率いる強い男性のようなパワーを味わうなどという説もあるが、尖ったつま先も同じようなものだ。

つま先に関する心理分析はさておき、快適な靴を履いているときには力が漲るもの。何かから逃げるときに階段から転げ落ちることなく走れることも重要。これがハイヒールではなくてこのタイプのパンプスを選ぶいちばんの理由だ。

Mary Janes (メリージェーン)

Marc Jacobs(マーク・ジェイコブズ)

わたしの夫は学生時代にバンドを組んでギターを弾いていた。バンド名は「カバー・ユア・イヤーズ・ノディ、イッツ・ザ・メリージェーン(バカどもは耳をふさげ、メリージェーン参上)」。どうしてこんなに大げさな名前をつけたのか、わたしには一生理解できないと思う。彼らは“メリージェーン”が子供が履く靴のことだなんてまったく知らなかったのだろう。実用的でそっけない1本のストラップが甲の上にかかったスクールシューズ。みんなが履いていたのは、おそらくわたしと同じように、子供靴メーカーのスタートライト社製だったはず。

丸いつま先のメリージェーンを見ると、1985年ごろの幼いウィリアム王子を思い出してしまう。わたしが好きなのは、ポインテッドトゥのメリージェーンを履いている女性の姿。ミュウミュウ、マーク・ジェイコブス、タビサ・シモンズらが、ここ最近とても美しいメリージェーンを出している。ふつうならハイヒールと合わせるようなドレスにも似合うのだ。何でもかんでもハイヒールを合わせるのは愚の骨頂!

Safari boots (サファリブーツ)

Penelope Chilvers(ペネロペ・シルヴァーズ)

わたしのお気に入りブランド、ペネロペ・シルヴァーズ以外にこの靴を作っているブランドがあるのかどうか定かではないけれど、わたしの大好きなサファリブーツは、くるぶしより少し短い筒丈やクレープソールと、チェルシーブーツのような着脱しやすいサイドガゼットとがうまく調和している。言うなれば完璧なるハイブリッド。

ペネロペ・シルヴァーズが好きな理由は、サイドのゴムに遊び心があって、今っぽい印象を受けるから。ネオンカラーのゴムもあれば、ストライプのゴムもある。クレープソールは買ってすぐ履いても足になじむし、ちょうどくるぶし下にかかる短めの丈はスカートとのコーディネートが楽しめる。わたしみたいに脚が短くても。

Monk shoes (モンクシューズ)

Northern Cobbler(ノーザンコブラー)のSquawfish

モンクシューズは紐靴代わりに履ける粋な靴。その他大勢とはちょっと違う感じにしたい人向けだ。靴にはバックルが1つ(モンク)か2つ(ダブルモンク)あり、ブローグがついているものはとりわけ美しい。

モンクシューズの歴史はその名前に隠されている。この形はヨーロッパの修道士の間で広まったものだ。修道士たちは普段履いているサンダルよりも足を保護してくれるスリッポンを好んで履いていた。バックルには脱ぎ履きしやすいようにゴムベルトがついていたりもする。彼らは靴紐が結べないくらい忙しかったのかしら。わたしは自分のモンクシューズには修道衣でなく、おしゃれなソックスにロールアップジーンズをコーディネートする。イラストのような夏用の白いモンクシューズだったら、足首を出してチラッと素肌を見せるのがいちばん。

Wellington boots (ウェリントンブーツ)

Hunter+Rag&Bone(ハンター+ラグ&ボーン)のコラボレーション

自分の名前のついたブーツが200年後にも存在し、しかも人気を博していたらどんな気持ちだろう。ウェリントン公爵に聞いてみたい。公爵がお抱えの靴屋に膝丈の頑丈なブーツを注文したとき、21世紀に音楽フェスに参加する世界中の若い女性たちがこの靴を履いているなんて思いもしなかっただろう。公爵が乗馬用ジョッパーズパンツを合わせていたのに対し、女性たちはデニムのショートパンツを合わせて着ている。

公爵のブーツはもちろんレザー製だったが、1853年ごろフランスのエーグル社がゴム製ブーツを作り始めた。このメーカーはいまでも素敵なウェリントンブーツを製造し続けている。画像はハンター製。このウェリントンブーツ専門ブランドは非常に成功していて、最近はロンドンコレクションのキャットウォークにも登場している。

(以上、書籍『フラットシューズ宣言』より抜粋)

著者:Hannah Rochell(ハンナ・ロシェル)
ファッション誌『インスタイル』の看板編集。ファッションジャーナリストとして7年以上の経験を持つ。フラットシューズのファンが集まる彼女のブログ、EnBrogue.comが話題となり、これまでにBBCラジオ、ガーディアン紙、タイムズ紙、サンデータイムズマガジン、オンライン版レッド、オンライン版ルックなどにとりあげられた。
訳者:mucco
おしゃれと節約の両立を実践した生活を綴った人気ブログ「ケチケチ贅沢日記」を主宰。2013年に出版した初の書籍『ケチケチ贅沢主義』がベストセラーに。経済紙、女性誌をはじめ多くの媒体でとりあげられる。AFP、2級FP技能士。現在は派遣ときどき専業主婦。
『フラットシューズ宣言』
(ハンナ・ロシェル著 mucco訳 プレジデント社刊)
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