現在1ユーロ=140円前後、2年前は1ユーロ=100円前後

先日、オランダとベルギーを旅行してきました。ユーロ圏の中で、観光地としては、フランスやイタリアに比べて地味なイメージがありますが、私は二度、観光に訪れるほど好きです。治安もよく、人々も親切なので、とても楽しい時を過ごすことができました。

途中、“日本人観光客をがっかりさせる”といわれる世界三大名所のうちの一つ、ベルギー・ブリュッセルの「小便小僧」の前で、一人の日本人男性に出会いました。「いや~、定年を過ぎて、自由きままの海外一人旅をするのが好きでね。妻は日本にいてついてこないよ。今はユーロ高だし、物価も高いので、おトク感はないねえ。こんなことだったら、ユーロ安の時に両替しておけばよかったよ」。

確かに、街のカフェの紅茶は5.5ユーロ、アイスクリーム添えのワッフルは10.5ユーロ、水や清涼飲料水のペットボトルは3.3ユーロでした。日本なら1000円以下であろうパスタは16ユーロでした。オランダ・ベルギーの消費税(付加価値税)は21%とはいえ、日本でした両替は手数料込みで1ユーロ=142円強でしたから、やはり高い……。

為替のほうはというと、2012年5~8月ごろは、1ユーロ100円を切っていました。たった2年前なのに、現在はその約1.4倍。この為替の値動きを利用するのが外貨預金です。

今さらだけど……、「円高」「円安」ってナニ?

世界にはさまざまな国があり、国ごとに違うお金で生活をしています。日本は「円」、アメリカは「ドル」、イギリスは「ポンド」、ヨーロッパではドイツやフランス、イタリアなど18カ国が「ユーロ」を公式使用しています。

旅行に行くときはその国の通貨に両替をしなくてはならないように、貿易の世界も為替レートを使って取引が行われています。その交換比率は国の経済力、金利、政治問題、貿易収支などさまざまな影響を受けて、常に動いています。

ここで今さらですが、「円高」「円安」の説明を。例えば、ベルギーで10ユーロのチョコを買うとき、1ユーロ=120円なら日本円で1200円ですが、1ユーロ=140円なら同じチョコを買うのに1400円が必要です。つまり1ユーロ=140円のほうが、1ユーロ=120円に比べて円の価値が安くなるので「円安」、逆に1ユーロ=100円なら10ユーロのチョコが1000円で買えるため、1ユーロ=120円に比べて円の価値が高くなるので「円高」です。

外貨預金は円高で預金をし、円安で引き出すと儲かる

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外貨預金は円高で預金をし、円安で引き出すと儲かる

この為替の値動き利用して、外国のお金を日本でいつも利用している銀行に預金し、お金を増やすことを狙うのが「外貨預金」です。外貨預金の仕組みは簡単で、円を外貨にして預金すること以外は、通常の円の預金と変わりはありません。ドルにしてもユーロにしても普通預金と定期預金があり、利息もつきます。ただし、両替をして預金したり引き出したりをするので両替手数料がかかり、大手銀行の窓口だと1ドル=1円(片道)、1ユーロ=1円50銭(片道)ですが、ネットバンキングだと1ドル・1ユーロ=25銭(片道)となっています。

お金の増やし方も、考え方はとてもシンプル。為替の動きを利用し、「円高」のときに外貨に両替をして預金をし、「円安」で円に戻して引き出し、日本で使うのが賢いやり方。外貨預金をそのまま外貨で引き出すことはできる銀行とできない銀行があり、できたとしても日数と手数料がかかるので、あまり得策ではありません。

とはいえ、口では、「外貨預金は円高で預金をし、円安で引き出すと儲かる」と簡単にいえますが、売買タイミングを上手に判断することは難しいです。そこで「外貨積立」という方法もあります。積み立てなら毎月同日、同額を預金していくので、円高のときは多く円安のときは少なく外貨を預金することになり、長期で見て平均購入単価を低く抑えることができる「ドル・コスト平均法」が効くかも。

買ったときより円安になるまで預金すればソンしない

何よりも外貨預金は買ったときより円安になるまでずっと持っていれば、その国の通貨では目減りすることなく為替の動きでソンはしません。だから「外貨投資」ではなく「外貨預金」なのです(外貨証拠金取引「FX」と間違えないように)。預金だから、その間、利息もつきます。

この先、日本の円だけではなく、外貨にも挑戦して、国際感覚を磨きませんか。貯金の5~10%を目安に外貨に替えて資産を分散しておくと、世界経済の動きの勉強にもなるし、お金が増える速度が上がるかもしれません。外貨預金デビューにおすすめなのは、やっぱりアメリカのドル。為替レートの動きがつかみやすいし、世界中で通用する通貨だからです。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。