※なお、本稿は個人が特定されないよう、相談者のエピソードには変更や修正を加えている
「ホテルのラウンジ」でお見合いするワケ
結婚相談所のお見合いは、そのほとんどが一流ホテルのラウンジで行われる。なぜ、ホテルのラウンジがお見合いの場に選ばれるのだろうか。
これには大きな理由が三つある。
第一に、『結婚』するかもしれない相手との出会いの場だから、普段使いの店よりも、特別な日に使いたくなる場所を選ぶべきであること。
次に、ホテルのラウンジはカフェや喫茶店よりも席と席の間がゆったりと設けられていることが多く、「初めまして」から始まるお見合いの会話を、隣の席の人に聞かれないで済むこと。
そして、もう一つ。一生を共にするかもしれない相手が、ホテルというオフィシャルな場所でどういった立ち居振る舞いをするかを、お互いに見ることができる、という理由もある。お見合いでは、この三つ目の理由が大きく影響する。
ホテルのラウンジのコーヒー代は、平均1500円~2000円程度と、カフェなどのコーヒー代金よりも高額にはなる。だがそれは、「お見合い」という場にふさわしい空間や安心感への対価なのだ。
だから当然、お見合いでは服装や持ち物も見られている。よそ行きの場にふさわしい装いで出かけて、大事な初対面の印象をできる限りよくしたい。ところが、本人はまったく気が付かないままに、お見合いには似つかわしくないコーディネートを選んでしまっている方もいる。
本稿では、お見合いをする際に気をつけるべき「NGなコーディネート」について紹介していく。
年収750万円・41歳男性への「お断り」
38歳、大卒の金融機関勤務の女性が、お見合いをすることになった。お相手は41歳の男性。MARCH卒、メーカー勤務で年収は750万円。
身長174センチ、すらりとした体型の彼は、細身のスーツがよく似合う。プロフィールに掲載されているのは、さわやかとしか表現できないような笑顔の写真。かなりの数のお見合いの申し込みが入るのだろうと、容易に想像できる男性だ。
ところが、お見合いが済んでみると、彼女からの返事は「お断り」だった。理由を聞くと、「お見合いにリュック」で来る価値観が、自分とは相容れない、と感じたのだそうだ。
「結婚は恋愛とは違う。いつか子供を持って、育てていく相手とは、同じ方向を向いて子育てをしたい。お見合いにリュックを選ぶ男性は、子供の入学式でも普段着を選び、運動会には革靴を履いてきそうだから」
というのが、彼女の言い分であった。このお断り理由には、私は「ちょっと待った!」をかけた。
確かに、ホテルでのお見合いにどんな服装を選ぶか、どう振る舞うかも、相手を見極める判断材料にはなる。だが、これまでの人生で、格式高い場所などに出かけた経験がない方も少なくない。
それがその場にふさわしくないということを知らないだけの方もいる。結婚生活は、お互いが知らないことや足りないことを補い合っていくもの。リュックを背負ってきたから子供の運動会に革靴を履いていくかも、という理由だけのお断りは、早計である。
「価値観の違い」を埋めるのは難しい
だが、彼女の意思は変わらなかった。
「20代ならともかく、40歳を過ぎても、TPOを知らないのは、価値観の違いを埋めるには相当な時間が必要ですから難しいです」
いまは、東京・丸の内あたりの通勤時間帯には、会社に急ぐ人の波のなかで、男性のほとんどがスーツ姿にリュックという出で立ちである。これは、コロナ禍を過ぎてから、劇的に増えた印象がある。在宅勤務が広がり、パソコンを持ち歩く人が増えたからではないか。
小学生のランドセル同様に、重いものは手持ちカバンに入れるより、背負った方がラクだからだ。男性のみならず、オフィスファッションにリュックを合わせる女性も少なくない。
「オフィスにリュック」は、すっかり市民権を得ており、営業職の外まわりでも、リュックを使うのは当たり前である。
以前のように重いビジネスバッグに資料を入れて歩くのではなく、客先でも、リュックからパソコンを出して、ペーパーレスでの営業活動が行われている。そんな日常だから、前述の男性が何の疑いもなく、ホテルのお見合いに、スーツにリュックという装いで出かけたのであろう。
だが彼女は、この選択を、一生を共にする相手の価値観として受け入れることができなかったのだ。
最後まで野球帽を脱がなかった男性
29歳、大卒の医療事務の女性がある日お見合いした、1歳年上の男性がいた。
「お見合いにキャップを被っていらっしゃいました」
プロフィール写真はスーツ姿だったのに、お見合いの待ち合わせ場所に現れたお相手の男性の姿に言葉を失った。まるで近所の公園に散歩に行くようなカジュアルな服装に、野球帽だったからである。
野球帽を被って、ホテルのラウンジのお見合いに来たその男性は、最初の挨拶から、お開きになるまで、一度もそのキャップを脱ぐことがなかったのだという。
プロの野球選手も、プロゴルファーもキャップを被っているが、挨拶やナイスプレーへのお礼をするときは、キャップを外すか、少なくともキャップのつばに手を添えるなどする。帽子を脱ぐという行為には、礼儀や敬意を表すという意味があるからである。
また、ファッションの一部として使う帽子以外は、基本的には屋外で被るもので、室内に入れば脱ぐのがマナーです。
お見合いの場、しかもホテルのラウンジで、キャップを被り、斜め掛けのボディバッグに、ジーパンにTシャツという装いのお相手。結婚披露宴にお呼ばれされても行けるくらいおしゃれをしてきた彼女とは、あまりに不釣り合いな二人だった。お見合いがうまくいくはずもなく、ご縁はつながらなかった。
ハンカチと傘で「結婚生活」まで見える
結婚相談所では、出会いから最長でも半年間という期間の中で、結婚するかしないかを交際しながら判断していく。
お見合いという正式な場で、どんな服装や持ち物であるかという第一印象が大事なことは言うまでもないが、デートでも、行き先や目的に合わせた装いと振る舞いができるかも結婚への決め手となる。
服装、バッグ、靴、アクセサリーなど目に見えるものに細心の注意を払うのはもちろん、バッグの中身は見えないようで、相手の暮らしぶりが見えるもの。
例えば、夏の大汗をかくような時期に、ハンカチを持っておらず、流れる汗を拭くことができない人は、清潔感がないと一蹴される。
雨の可能性がある日に、折り畳みの傘をバッグに忍ばせているような人は、事前準備を怠らないきちんとしたタイプと考えられやすいし、急な雨が降るたびに、毎回ビニール傘をその場対応で購入し続ける人は、お金が貯まらないタイプに見られるであろう。
仲人のおすすめは「革製のトートバッグ」
デートの行き先や目的、気候に合わせてふさわしい身なりと持ち物を選べる人は、結婚生活で日々起こる予測不可能な出来事にも、その時々に合わせた対応ができる人だと見られやすい。
では、リュックの代わりに何を持てばいいのか。
普段の暮らしではリュックが当然でも、格調高い場所やかしこまった席には、よりふさわしいバッグがある。
私は、お見合いでは、仕事のシーンで持つような、固い雰囲気のビジネスバッグより、口が大きく開いていて、持ち手が二本ついた「革製のトートバッグ」をおすすめしている。トートバッグは、横長のものが多いが、縦長でも構わない。
本革なら数万円するが、合皮なら1万円以下でも、素敵なバッグはいくらでも手に入る。
これを一つ持っておけば、お見合いだけでなく、交際後のデートにも活躍するのは間違いない。
シンプルな革製トートバッグは、清潔感があり、ホテルのラウンジでも違和感なく持てる。開口部の広いバッグは、スーツだけでなくカジュアルなデート服にもコーディネートしやすい。婚活男性が持つべき、マストアイテムと言えるだろう。
「リュック→バッグ」で4カ月でゴールイン
実際に、持ち物についての助言を受け、その後4カ月で成婚した男性もいる。
仕事帰りに初回面談でやってきた44歳初婚男性は、彼は前述のお見合いをお断りされた男性同様にスーツに黒いカジュアルなナイロン製のリュックを持ってきた。これまでお見合いが上手くいかず悩んでいるようだったので、さっそく持ち物について質問してみた。
「普段はリュックですか? お見合いにはどんなバッグを持つ予定ですか?」
すると、彼はバッグに意識を持っていなかったようで、少し驚いた顔をして尋ねた。
「どんなバッグを持てば良いですか?」
そこで、スマホで彼に似合いそうなバッグを一緒に探し、その場で革製のトートバッグを購入した。
彼は入会から4カ月で成婚退会していった。のちに結婚するお相手とのお見合いに持って行ったのも革製のトートバッグだった。なんの変哲もないバッグだが、これがお見合いにもデートにも使えて重宝したと、喜んでくれた。
スーツやワイシャツ、ネクタイに気を取られ、つい持ち物はおざなりになりがち。男性が持っているバッグは、女性の目につきやすいもの。
婚活の場では、通勤用のくたびれたリュックはいったん家に置き、ラウンジでのお見合いにふさわしいバッグを選べる男性から、幸せが近づいてくる。
