結婚してはいけない相手は、どこで見抜けばいいのか。主宰する結婚相談所でカウンセラーを務めている大屋優子さんは「年収1500万円で実家も資産家という41歳男性と、順調に交際していた33歳女性がいた。ただ、誕生日ディナーの席で起きた“ある出来事”をきっかけに、迷わず交際終了を選んだ」という――。

※なお、本稿は個人が特定されないよう、相談者のエピソードには変更や修正を加えている

ソファに座って頭を抱えている女性
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「条件は完璧」に見えた41歳の彼

結婚相談所には、真面目に結婚したいと婚活している、驚くほどハイスペックな男女が存在している。

41歳、国立大学の大学院修了、男性、年収1500万円。身長は173センチで、学歴も年収も申し分のない条件だ。その男性とお見合いし、順調に交際していたのが、一般企業に勤務する33歳、大卒の女性。

彼女も結婚相手の条件にはそれなりの希望を持っていたが、前述の男性は、その希望条件にすべてあてはまった。しかも、彼の実家はかなりの資産家とのことで、千葉県を中心に多くの不動産を持っている。本来なら仕事をしなくてもよいのだそうだが、彼いわく「楽な仕事」ということで、会社勤めをしている。

お見合い後の最初のデートは、彼女の飼い犬も連れて、木更津のアウトレットへドライブに出かけた。

彼の愛車は、ゴルフに行くのによく使うというBMWのワゴン車だ。彼から「普段着を買いたいから見立ててほしい」とリクエストがあった。

おしゃれな彼女は喜んで買い物に付き合い、彼も彼女のセンスを絶賛して、洋服を何着か購入した。彼とのショッピングは楽しく、彼女の意見を取り入れて普段着を選ぶ彼の姿に、「この人となら、こんなふうに過ごす週末がずっと続きそう」だと思った。

結婚したら、日々の食材もこうして二人で買いに行くのだろうと、その光景を結婚後の生活に重ね合わせた。自宅近くまで迎えに来てくれ、買い物中も愛犬を大事にしてくれる彼の態度に、彼女の気持ちはどんどん惹かれていく。

帰り道には、海ほたるで海をバックに二人で記念写真も撮影した。このときは、この1枚がこれからの二人のアルバムの冒頭を飾るのだろうと思ったという。

事件は誕生日ディナーで起こった

その後も、毎日仕事終わりにLINEを交わし、次のデートの行き先や、結婚後に住むエリアについても話題に出た。二人の交際は順調で、それから二度ほど、都内でランチデートを楽しんだ。

4回目のデートは、彼女の誕生日が近いということで、ディナーの約束になった。

彼は「お誕生日には何が欲しい?」と聞いてくれたが、彼女はまだ結婚が決まったわけではないし、高価なプレゼントをねだる気持ちも一切ない。彼の気持ちに感謝し、「考えておきますね」と答えた。

事件は、そのディナーデートで起こった。

彼が選んだ店は、表参道の路地裏にある瀟洒しょうしゃなレストラン。雰囲気、料理の味、サービスともに最高レベルの店だった。

二人がお酒の入ったデートをするのは、初めてのことだった。彼女はお酒がほとんど飲めず、会社の仲間との飲み会でも、乾杯の1杯と、せいぜいもう1杯くらい、アルコール度数の低いお酒をたしなむ程度。

それに対して彼はかなりの酒豪らしく、日頃からビールでも日本酒でも、焼酎でもワインでも、何でもござれ。

レストランは彼が何度か訪れたことのある店で、食事に合わせたワインのペアリングをすすめられた。彼女は「私はほとんど飲めないので、グラスでいただきます」と遠慮したが、彼が「飲めなければ僕が飲むから、一緒にペアリングにしましょう」と言うので、それに従った。

ワインのペアリングとは、ソムリエなどが料理の種類や味付けに合わせて、その味を引き立てる相性の良いワインをサービスしてくれるというもの。値段を見比べながらワインを選ぶ手間がなく、ボトルでオーダーする必要もないため、コース料理にペアリングを用意している店は少なくない。

高級レストランのディナー
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1杯目のシャンパンで限界だった

彼女のバースデーを兼ねたディナーが始まった。

1杯目のシャンパンは口当たりがよかったが、お酒の弱い彼女は胃がカーッと熱くなり、これ以上は飲めないと思った。料理はどれもおいしく、一緒にサービスされるワインも、お酒に詳しくない彼女でも一口飲めばおいしいと感じた。

だが、彼女の酒量は1杯くらいが限界。2杯目の白ワインも、そのほとんどを彼に手伝ってもらい、やっとグラスを空けた。普段はカクテルなどの薄めのお酒をほんの少し飲むくらいだから、彼女はワインや日本酒は苦手。とくに苦手なのは赤ワインで、過去に酔いつぶれた経験もある。赤ワインがペアリングで提供されたところで、「赤ワインは苦手なので、飲んでくださいますか?」と彼に頼んだ。

彼は喜んで、赤ワインを二人分飲んだ。ワインの味は彼の好みだったようで、追加で赤ワインをオーダーした。彼女のグラスにも赤ワインが注がれる。

「ワイン押し問答」にげんなり

そのあたりから、彼の様子が違ってきた。

赤ワインは飲めないと伝えてあるのに、彼女の席のワイングラスをスッと押しやり、「このワインはなかなかの味だから」と飲むように勧める。

最初は「赤ワインは苦手で」と断っていた彼女も、それを10回以上繰り返されると、さすがに口を付けたふりをするしかなかった。彼からすると「勧めた」だけのつもりかもしれない。だが彼女には、ワインを「強要」されているように感じられた。

グラスを押し戻しては、また寄せられる。その繰り返しで、肉料理以降のディナーの後半は、彼女にとって苦痛以外の何物でもない時間となった。

このあとも彼は数杯のワインを追加注文したから、テーブルクロスの上をワイングラスが行き来する押し問答は、果てしなく続いた。

レストランのテーブルで、ソムリエがグラスに赤ワインを注ぐ様子
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透けて見えた「モラハラの片鱗」

いつもは優しい彼の表情は一変し、別人のようにニヤリと笑う彼が怪物のように見えて、彼女は怖くなってしまった。

彼から「モラハラ気質」の片鱗へんりんを感じたのだ。彼と結婚したら、毎晩アルコールを多量摂取し、傍若無人な振る舞いをするのではないか。結婚後に「モラハラ」や「パワハラ」をする男性なのではないか。自称酒豪だが、実はお酒に強いのではなく、ただお酒に依存しているだけではないのか。

赤ワインを無理に勧められた「アルハラ」(アルコールハラスメント)から、酔った勢いで暴言を吐かれたり、精神的な苦痛を与えられたりする将来の可能性が、透けて見えたのだ。

ディナーの前までは彼との結婚を考えていたのに、彼女は迷わず交際終了を選んだ。年収も高く、実家も資産家。高スペックと呼べる男性だったが、ワインのペアリングをきっかけに見えたのは、彼の酒癖とハラスメント気質だった。

これに目をつぶって結婚してしまったら、近い将来後悔する。彼女はそう確信した。

これほど条件のそろった彼が、40歳過ぎまで結婚できなかったのは、もしかしたらお酒の席で垣間見えるこの気質が理由だったのかもしれない。

女性も経済的に自立できる時代に、いくら好条件だとしても、ハラスメントを受けるとわかっている相手との結婚を選ぶ人はいない。

酒席は「本性」を見抜く絶好の場

大屋優子、現代洋子『余計なお世話いたします 半年以内に結婚できる20のルール』(集英社)
大屋優子、現代洋子『余計なお世話いたします 半年以内に結婚できる20のルール』(集英社)

結婚相談所の出会いは、お見合いから成婚退会までの期間が最長でも半年と決められていて、交際期間は短い。だからこそ、二人でお酒を飲むデートはぜひすべきだ。

思いがけない相手の一面を見られることもあるし、酔って本音が出たり、人柄がガラッと変わったりする人もいる。これは男性だけでなく、女性も同じことが言える。

この例とは別に、お酒が大好きな女性が、食事の席で男性より多くお酒をオーダーし、陽気になったのは良いが、「大トラ女性はご免こうむりたい」と交際終了になったケースもある。

「酒は飲んでも飲まれるな」。

アルコールとうまく付き合っていける人は、婚活も仕事も人間関係もうまくいくことは間違いない。