※本稿は、西﨑彩智『貯まる片づけ』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
お金が貯まらないキッチンの特徴
家の中でも、お金の使い方の傾向が最もあらわれるのがキッチン。
キッチンを一目見れば、その家が「お金の貯まる家」か「貯まらない家」かがわかります。「お金の貯まらない家」は、例えばこんな様子です。
キッチンカウンターには、油まみれの調味料がずらりと並んでいて、壁には、フライ返しやお玉が3~4種類ずつ。同じような調理器具がごちゃごちゃにかけられています。フライパンも大きさ、深さの違いで何種類も置いてあります。
シンクには洗っていない食器が溜まっていて、洗いカゴにも、とっくに乾いているお皿が山盛りに積まれている。床には、大容量の油やペットボトル飲料などがそのまま放置されています。
特に、冷蔵庫の中はパンパン。手前のものを取り出すと、しなしなになった野菜や、いつ入れたのかわからないつくりおきの食品が出てきます。ドアポケットには、封を開けて少しだけ使ったドレッシングやソース類が何本も。冷凍室からは、霜のついた肉や魚が出てきます。
パントリーには、賞味期限切れの乾物や乾麺などの食品が大量に。そして多くの場合、スーパーのレジ袋が「なぜここに?」と思うようなあちらこちらから出てきます……。
これこそ、「お金の貯まらない家」のキッチンの典型です。余白がなく、とにかくものがいっぱい。どこに何があるのか把握できていない状態で、管理が全く行き届いていません。
「貯まる片づけ」のルールは、最初は必ず「キッチン」から片づけること、です。片づけたあとにお金の使い方の変化を特に感じやすく、また比較的、片づけやすいことから、挫折しづらく、スタートに適しています。
「無駄」が生まれる4つの理由
なぜキッチンには、わかりやすく無駄が発生してしまうのでしょうか。その理由は次の4つです。
1 買い物に行く頻度が高い
2 一人で管理できない
3 旅先で買ってきてしまう
4 “丁寧な暮らし”に憧れすぎている
順を追って説明します。
1 買い物に行く頻度が高い
多くの人は、洋服を買いに行くより、スーパーに行く頻度のほうが高いでしょう。毎日行くという人も少なくありません。なぜなら、洋服などに比べて食品は値段が手頃で、お店に気軽に寄りやすいから。息抜きがてら、ついつい行ってしまうようです。
また、「特売でいつもより安い! まだストックがあるけれど、どうせ使うから今買うほうがお得でしょ」「在庫は覚えていないけど、なかったら困るから買っとくか」などの心理が働き、必要ではないものまで買ってしまうのです。
ホームベーカリーが4台出てきた家も…
2 一人で管理できない
男性の家事分担の増加によって、複数人がキッチンに立つことが増えました。それ自体はよいことですが、それによって各々が買い物をしてきて、ダブりが発生することが多々あると聞きます。
3 旅先で買ってきてしまう
旅先では、財布のひもが緩みがち。ご当地ドレッシングや珍しい乾物、手づくりの調味料などを見て「ここでしか手に入らない!」と高揚し、つい買って帰ってしまいます。しかし、いざ日常に戻ると、いつもの調味料が使いやすいので、封を開けて少し使っただけのボトルが、冷蔵庫やキッチンカウンターに何本も並ぶことに。そのまま平気で数年経って、賞味期限が切れていきます。
4 “丁寧な暮らし”に憧れすぎている
「パンの焼けるにおいで目を覚ましたい」「スムージーで健康的な食生活を送りたい」……ホームベーカリーやミキサーを買えば、私にも丁寧な暮らしができるかも! と専用の調理家電をつい購入したけれど、使ったのは数回だけ。
その後「キッチンの置物」と化していく家庭が少なくありません。過去お伺いした中でも衝撃だったのは、ホームベーカリーを4台持っているお宅。
朝食に手づくりパンを食べたい。でもいざ買うと、続かない。そこで、新しいバージョンが出るたびに「今度こそ、これがあれば変われるはず!」と期待をこめて買うけれど、朝は準備に追われて、それどころじゃない。
キッチンが広く、置いておけるだけのスペースがあったことも、無駄買いの要因になってしまったかもしれません。フライパンが5つ出てきた人もいました。大中小のフライパンに、家族用と一人用の卵焼き器。ご本人は料理が得意ではない分、手料理への憧れが強かったようです。
ここまで読んでドキッとした人は、次のステップで片づけていきましょう。
「キッチンから」なら片づけられるワケ
【ステップ1】使っていないものを手放す
まずは、「使っていないもの」を処分しましょう。食品をはじめ、乾物のストックや調理器具、調理家電などすべてが対象です。
キッチンは、賞味期限など“数字”のあるものが多いので、片づけが苦手な人でも迷わず処分しやすく、片づけをスタートするのに最適な場所。「使いたい」「まだ使えるかも」と感情で考えると、いっこうに取捨の判断が進みません。例えば、乾物やドレッシングなどを見たときに、賞味期限が切れていれば処分していきましょう。
また冷蔵庫の中にあって長らく食べていないものや、いつ入れたのかわからないものも捨てたほうがいいでしょう。
調理器具や調理家電なども、1年以上使わなかったものは手放しましょう。1年使わなかったら、これからも使う可能性が低いからです。
【ステップ2】在庫を「見える化」する
冷蔵庫やパントリー(常温保存OKな食品や調味料をストックしているボックスや棚)から不要なものを出したら、スペースができます。ここまできて、ようやく「収納」です。使いたいときに使いたいものがサッと取り出せるように収納していきます。
冷蔵庫の中は、意外かもしれませんが、奥に「小さいもの」を入れて、手前に「大きなもの」を入れるのがポイントです。なぜ鍋やタッパーなどの大物を手前に置くかというと、それをどけるだけで、奥が見渡せるから。
反対に、奥に大きいもの、手前に小さいものを並べてしまうと、小さいものを全部どかさないと奥の大きなものが取れないので、手数が増えて奥のものは取り出さなくなっていきます。そのうち奥に入っているものの存在ごと忘れてしまい、せっかく買った食材や調味料がダメになっていくのです。
特に、暑い季節は鍋ごと入るスペースがあるにこしたことはありません。スペースを「埋めよう」とパンパンになるまで買うのではなく、鍋が入るくらいの余白があるのを基本としましょう。
そもそも「捨てる」ことになった理由を思い出す
【ステップ3】新しい買い物習慣をつける
無駄遣いをしないためには、次のような買い物習慣をつけるのがおすすめです。
1 週に1、2回など、スーパーに足を運ぶ回数を少なくする
2 必ず在庫をチェックする
3 エコバッグを持参する
4 帰ったあとは、冷凍ストックをつくる
買い物は、毎日行く必要はなく、できるのであれば週に1回と決めましょう。お子さんがいて、途中で卵や牛乳が必要になるなら、週に2回程度に抑えてみてはいかがでしょうか。大事なのは、欲しいものより「献立に合うもの」(本当に使うもの)を買うこと。買うものをメモして、それ以外は「安いから」「使うかも」などと理由をつけて買わないこと。
在庫をチェックしてから行けば、余分なものは買わずにすみます。パパも買い物をする家庭は、ホワイトボードに“買うもの”を書いて冷蔵庫に貼っておき、どちらかが買ったら消す、と情報共有すればダブりも防げます。
買い物に行くときは、エコバッグを忘れずに。たとえ2〜5円の金額でも、レジ袋を買わなければ、その分節約になります。買い物から帰ったあとは、肉や魚は小分けにして、下味をつけて冷凍室へ。
取り出して焼くだけで、すぐに食べられます。しめじやまいたけなどのきのこ類は、小さく切ってミックスきのこに。大根やにんじんなどの根菜類も小さくカットして冷凍室に入れておけば、すぐに味噌汁やスープの具として使えます。このひと手間で、はるかに時短して調理できるようになります。
【ステップ4】「欲しい」と思ったら過去を振り返る
先程、ホームベーカリーを4台処分した人の話をしましたが、ライフスタイルに合わなければ、どんな良品も結局使いません。ですから、過去に処分したのにまた「欲しい」という気持ちが湧き起こったら、「そもそもなんで捨てたんだっけ?」と処分した理由を思い出してほしいと思います。
私自身も過去にホームベーカリーを処分した経験がある話をしましたが、買ってみたら音がうるさくて、しかも、せっかく焼いても子どもたちがあんまり食べなかったのです。過去の理由を思い出せば、買いたい衝動をストップできるでしょう。「使いこなせなかった」と自分を責めるのではなく、ライフスタイルに合うかどうかを冷静に考えることが大事です。
特に用途が限られる専用の調理家電は、慎重に選ばないと無用の長物と化します。買う前に借りたり、譲ってもらったりすると無駄遣いせずにすむかもしれません。
片づけるだけで「お金が貯まる」ワケ
「キッチンを片づけたら、お金が貯まるようになった」と話す方は多いです。
ある方は、仕事場の近くにコンビニがあり、毎日行っては、おむすびやサラダ、飲み物、お菓子などを買いたいだけ買っていたそうですが、冷蔵庫を片づけてからは自炊が楽しくなり、「無駄を減らしたい」という意識も生まれたことから、自分でお弁当をつくったり、飲み物を持参したりして、コンビニに行かなくなったのだとか。
仮に一日500円をコンビニで使っていたとしたら、20日で1万円。片づけることで、貯金ができたわけです。
また買い物はネットスーパーを利用するようにしたら、お金が貯まるようになったという方もいました。スーパーに足を運んで、いろいろなものを見ると、当初の予定以上に買ってしまう。でもネットスーパーは、商品がカテゴリで分かれていて、ある程度献立を考えて計画を立てないと買いづらいため、あれもこれもと買うことがなくなったというのです。
さらに、冷蔵庫を整理して余白を設けたことで冷却効率が上がったのか、電気代が減ったという方もいました。何よりも冷蔵庫を片づけることで、「早く食べなきゃ」「賞味期限が切れそう」といった焦燥感から抜け出せたのがうれしかった、という声もありました。片づくと、とにかく冷蔵庫を開けたときに気分がいいのです。
我々人間の体は食べたものでつくられます。ですから、食は大事です。
キッチンが片づいていれば、自分や家族のために料理しようという気になるのではないでしょうか。キッチンを片づけて健康維持に努めれば、病気を防ぎ、無駄な医療費を使うこともなくなるかもしれませんよ。

