天皇誕生日一般参賀で「愛子さまー」の歓声も
2月23日は天皇陛下の66歳のお誕生日だった。この日は晴天に恵まれ、気温も暖かかった。
皇居で人々がお誕生日をお祝いする「一般参賀」には、午後の記帳者も含めて2万6973人が詰めかけた。
この日、宮殿東庭に集まった人たちからは「天皇陛下、おめでとうございます」という声があがった。それとともに「愛子さまー」という歓声も多かった。
天皇皇后両陛下のご長女、敬宮(愛子内親王)殿下への人々の共感の広がりを感じさせる光景だった。
高まる「愛子天皇」期待の声
このところ、敬宮殿下こそが次代の天皇として最もふさわしく望ましい、とする「愛子天皇」待望論がいっそう高まっている気配だ。最近の週刊誌を見ても、たとえば『週刊文春』(令和7年[2025年]11月27日号)が「ラオス大歓待で再燃する『愛子天皇』待望論」という特集を組み、『AERA』(令和8年[2026年]1月12日号)が「『愛子天皇』高まる待望論」、『週刊新潮』(令和8年[2026年]2月19日号)が「日本人を安堵させる愛子さまの人間力」という特集をそれぞれ載せている。
「愛子天皇」を期待する声は今後もますます高まるだろう。しかし、それは他の皇族をおとしめる意図からではない。
事実として、敬宮殿下は幅広い国民から敬愛される天皇皇后両陛下のお子さまでいらっしゃる。しかも人々は、殿下がひたむきに公共のため、国民のために献身しておられるお姿を、頼もしく拝見している。
にもかかわらず、単に「女性だから」というだけの理由であらかじめ皇位継承のラインから除外されるという、皇室典範の時代錯誤なルールがそのまま維持されている。その事実への違和感こそが、「愛子天皇」待望論の最も大きな背景だろう。
会見で示された天皇陛下のご本心
今年の天皇誕生日に発表された記者会見での天皇陛下のご発言には、驚くべき内容が含まれていた。それは何か。国民からの期待が高まる敬宮殿下が、ご結婚後も「皇族」として皇室にとどまられることを、天皇陛下ご自身が強く望んでおられるご本心を、これまでにないほど率直に示されたことだ。
これは天皇陛下から国民への極めて重要なメッセージにほかならない。なのに一般には、その切実さがあまり気づかれていないように見える。
そこで、少し丁寧におことばを紹介したい。
感じられる「遠い将来を見通したまなざし」
記者会見では、まず「災害が続く時代に象徴としてどのような役割を果たしていきたいか、お聞かせください」との質問(1問目)があった。これに対するお答えの中に、次のようなご発言があった。
このご発言からは、敬宮殿下が“長い時間軸”の中で、被災地の人々に心を寄せ続けることを期待しておられるお気持ちが伝わる。「長く引き継いでいくことの大切さ」とか「これからも……心を寄せていってもらいたい」という表現からは、遠い将来までも見通したまなざしが感じられる。
これからも皇室の一員として
また、「愛子さまのご様子」をたずねた質問(2問目)に対するお答えには、こんなお気持ちも吐露されている。
こちらのお答えでは、「“皇族”として……」「“皇室の一員”として……」という表現が、繰り返されている。敬宮殿下が「今後」「引き続き」「これからも」末永く「皇族」、「皇室の一員」として、その「仕事」「務め」を担い続けられることを願われる陛下のお気持ちが、よりストレートに示されている。
しかし、今の皇室典範のルール(第12条)では、内親王・女王がご結婚されたら、男性皇族の場合とは異なり、ただちに皇族の身分を失い、国民の仲間入りをされる。だから、このルールがそのまま残っていると、敬宮殿下がご結婚を断念されない限り、天皇陛下の願いはかなわないことになる。
未婚の女性皇族だけが、“幸せなご結婚”か“皇族としてのご活動”か、二者択一を迫られる不条理なルールになっているためだ。
愛子さまに期待される役割
さらに、「昨年は戦後80年にあたり、戦没者慰霊のために各地を訪問し、愛子さまも同行された」ことをめぐる質問(5問目)についてのお答えは、とくに注意すべきだろう。
陛下はこのようにお答えになった。
「平和の尊さ」を受け継ぐことは、実際に苛烈な戦争のさなかに天皇として在位された昭和天皇以来、代々の天皇にとって最も大切なテーマの1つだ。それを「次の世代へ引き継ぐ役割」を敬宮殿下に期待されていることを、天皇陛下が自ら表明された事実は重い。
記者会見での際どい質問
記者会見の場では、このご発言の重大さに気づいた記者が、関連質問として、以下のように踏み込んでたずねている。
記者がここで「末永く」と言っているのは、「ご結婚後も」という含意であることは疑問の余地がない。そうであれば、今回の特別国会で皇室典範の改正への方向づけがなされる可能性も高まっている中で、憲法上、国政に関与できない天皇陛下のお立場を考えると、かなり際どい質問とも言える。
しかし、皇室典範の適用を受ける当事者はあくまで天皇陛下をはじめとする皇室の方々だ。そうである以上、当事者のご意思をないがしろにして議論できないことも、もちろんだ。
それは人道上も欠かせないことだし、制度の持続性、安定性の点でも当然の配慮だろう。
天皇陛下の“強い”願い
天皇陛下は、答えにくい質問に対しても、誠実にお答えになっている。
先の踏み込んだ質問とこの率直なお答えを照らし合わせると、陛下のご真意は誤解の余地なく伝わる。「“皇族として”立派に育ってほしいというふうに思って、今まで育ててきた」「“その延長線”として、“今後とも”いろいろな面で力を出してほしい……」「という願いを“強く”持っている」と。
このおことばを素直に受け取る限り、天皇陛下は敬宮殿下がご結婚後も皇族として活躍され続けることを「強く」願っておられる、と理解する以外にない。このことは、これまでも宮内庁長官の発言やその他さまざまな面から、間接的には拝察できた。しかし今回ほど真正面から、陛下ご自身が自らのご意思を明らかにされたことは、これまでなかったのではないか。
この場合、それが皇后陛下や敬宮殿下ご本人のお気持ちを踏まえられたものであることは、改めて言うまでもないだろう。
「どのような立場に将来なるにせよ」
天皇陛下のお気持ちが、国民の前にこれほど明瞭に示された以上、政府・国会がそれを軽んじるようなことは決してあってはならないはずだ。
振り返ると、天皇陛下は敬宮殿下がまだ3歳だった頃、ご養育方針について以下のように述べておられた(平成17年[2005年])。
「愛子の養育方針ですが、愛子にはどのような立場に将来なるにせよ、1人の人間として立派に育ってほしいと願っています」と。
ここで「どのような立場に将来なるにせよ」とおっしゃっていた事実は重要だ。今の皇室典範のルールのままなら、先に述べたように将来ご結婚されたら国民の仲間入りをされることが決まっている。それなのに、なぜこのようにお答えになられたのか。
欠陥をかかえた皇室典範のルールがやがて是正され、敬宮殿下がご結婚後も「皇族」として皇室に残られる可能性をきちんと視野に入れて、ご養育の方針を定められたからだろう。そう理解するしかない。
一貫した「皇族」教育
学習院初等科の6年生に上がられる手前(平成25年[2013年])には、次のようにおっしゃっていた。
この時点ですでに「公私にわたり」と。
このご発言からは、敬宮殿下が将来、皇族として公的な場で活躍されることを早くから見通された上で、ご家庭での教育に臨まれていたことが分かる。
また、女子中等科から女子高等科に進まれる手前(平成29年[2017年])の段階では、すでに次のように述べておられた。
この頃、早くも皇族としての「自覚と役割」を学ぶご教育に、たしかな成果を実感しておられたご様子が伝わる。
愛子さまが受けられた教育の中身
今の皇室典範のルールでは、同じくご結婚とともに皇籍からの離脱が予定されている寛仁親王のお子さま方の場合は、教育の方向性が異なっていたようだ。現在、三笠宮家のご当主になられている彬子女王殿下は以前、次のように証言しておられた(『文藝春秋』平成21年[2000年]12月号)。
寛仁親王家では、女王殿下方が「国民」としての生活になじむための教育が行われていたらしい。
これに対して、敬宮殿下が受けられた教育は明らかに違っていた。一貫して皇族としての公的なご活躍を期待したご教育だったことが分かる。
今年の記者会見での関連質問に対して、天皇陛下は先にも引用したように「皇族として立派に育ってほしいというふうに思って、今まで育ててきたつもりです」と自信を持ってお答えになっている。これには、長年にわたるきちんとした裏づけがあってのことだった。
政府が考えている「奇妙な」制度
敬宮殿下と接する人々が幸せな気持ちになり、笑顔が連鎖していくのも、輝くような魅力を備えて広く国民の敬愛を集めておられるのも、もって生まれたご資質に加えて、これまでの天皇皇后両陛下のご薫陶と殿下ご自身のご研鑽のたまものだろう。
このような方がご結婚とともに皇室を離れなければならないような制度は、国会において速やかに是正されるべきだ。
しかし、内親王・女王殿下方がご結婚後も皇室にとどまられる場合、政府はご結婚相手とお子さまは“国民”という奇妙な制度を考えている。
「家族は同じ身分」という原則
改めて言うまでもなく、天皇・皇族も国民も、結婚後も「家族は同じ身分」(天皇・皇族の家族は皇族、国民の家族は国民)であり、それがわが国における近代以降の標準的な家族の姿だ。にもかかわらず、内親王・女王殿下方には夫婦も親子も身分が別々(妻=母親は“皇族”で皇統譜に登録、夫=父親と子は“国民”で戸籍に登録)という標準からかけ離れた家族を強制するのは、あまりにも不自然であり異常だ。
当然ながら、「家族は同じ身分」という原則は、ご結婚後の内親王・女王殿下方にも当てはめられるべきだ。
天皇陛下のご意思を第一優先で
政権与党の自民党と日本維新の会は、昨日まで一般国民だった旧宮家系の誰も知らない国民男性を“養子縁組”という法的な手続きだけで皇族とする無茶なプランを「第一優先」との方針で、足並みをそろえている。しかし、民意との乖離が激しすぎる。
これまで各種の世論調査で、およそ7割から9割の国民が「女性天皇」に賛成している。最初に述べたように「愛子天皇」を望む国民の声はますます高まっている。
その可能性を残すためには、未婚の女性皇族がご結婚後も皇族の身分をそのまま維持される皇室典範の改正が必須だ。
何よりも、このたび明らかになった天皇陛下のご意思こそ、「第一優先」とするのが当たり前ではあるまいか。