ドローンは物流を変えることができるか

――最先端のドローンはどのようなものがあるのでしょうか。

ドローンは雨や水に弱いのですが、海外のものですが海に潜れるものなども出てきました。防水加工をして雨に強いドローンも出てきましたので、活用分野が広がっていくでしょう。

――産業用ドローン元年の2017年で明らかになった問題は何でしょうか。

3月22日から「ジャパン・ドローン 2018」(Japan Drone 2018)が開催される。

昨年、産業用ドローンがさまざまなところで活用されるようになったわけですが、その一方で事故も増えています。昨年1月には上空から撮影していたドローンがクレーンに接触し落下して作業員の方がけがをするという事故がありました。さらに11月には岐阜県大垣市で空から子供たちにお菓子を撒くというお祭りがあり、ドローンが落下し、何人か怪我をしたという事故がありました。

それでも小口配送などの用途でのニーズも高くなっていますから、国土交通省は無人地帯などを設定して人のいないエリアを飛ばすことによって効率的な配送ができるのではないかと考えています。そこで都市部で飛ばすと事故につながるおそれがあるので、人のいない過疎地や山間部では車などで運ぶよりも効率的なところでの活用を検討しています。そのため長野県伊那市などで高齢者の買い物の実証実験を進めています。このほか楽天がローソンの移動販売車を使い、福島県の南相馬市でドローンでの配送サービスなどの実験を行っています。

――都心での配送ではマンションなど受け取れる場所がないことが指摘されています。

国土交通省の物流政策課が企業と東京大学と一緒になって「ドローンポート」を研究しています。現在のGPSは数メートルの誤差がありますから、ピンポイントで下降しないと危ないので、正確に着陸するための実験を進めています。ドローンにカメラをつけて、着陸地点にマーカーを置いて、それを認識させて着陸するという実験です。それが普及すれば狭いところでも正確に離発着できるようになるのではないかと思っています。

――ドローンビジネスの今後の課題はなんですか。

見えないところをどう飛ばすかです。これまでは監視者が飛行区域で確認していたのですが、それをどうすれば省力化できるのか、国土交通省、経済産業省などで検討しています。安全を確認しつつ遠くまで飛ばせるのか、今検討されているところで、来年度には新しい審査要領が発表されることになると思いますので、そうなると物流も取り組みやすくなるのではないかと思います。さらに今後、ドローンは大型化され、より大きなものが運べるようになると思いますし、離島や無人地域で活躍すると思います。都市部では落ちた時の危険が少ない小さいドローンが活躍すると思います。今後ドローンがどんな活躍をするか楽しみにしています。