コンビニ向けの無人レジで人手不足を補う

冒頭の大宮駅の実証実験で使われたスーパーワンダーレジはもともと食品スーパー向けに開発したものだ。蒲原社長は当初、スーパー向けから展開しようと考えていた。

「流通業界を調べたり、関係者の話を聞くうちに、いま本当に困っているのはコンビニだと分かったのです。夫婦でアルバイトを使いながら経営しているフランチャイジーが人手不足で苦しんでいる。それならばと、コンビニ向けの無人レジから開発することにしました」と、蒲原社長。

このコンビニ向けが「ワンダーレジ」である。スーパーワンダーレジと何が違うかと言えば、シンプルでコストがかからないことだ。

ワンダーレジは50~60センチ四方の箱形をしており、そこに商品を置くと一括でカメラとAIによって認識し、商品名と金額を表示する。事前に商品情報が登録されており、その形や商品名などを読み取る。認識率はほぼ100%近く、スピードも速い。

コンビニ用に開発した「ワンダーレジ」

「私たちは店舗を完全無人化しようなんて思っていません。あくまでも人手不足を補う手段であり、コンビニに人は必要なのです。たばこやお酒など年齢確認の必要な商品もあるし、宅配便の受付もありますから。ワンダーレジは有人レジ1カ所に2台置けますから、例えば、有人レジ3台を有人レジ1台とワンダーレジ4台にすれば、従業員4~5人ほど削減可能です」と蒲原社長は言う。

ワンダーレジの価格は1台で100万円台後半から200万円の予定。アルバイトの人件費は年間400万~500万円とすると、4台入れても800万円。人件費は2人で1000万円かかることを考えれば、十分元は取れる。

しかも、ワンダーレジの利点は他のどんな仕組みも変えなくていいことだ。商品にタグを付ける必要もないし、センサー類も不要だ。また、既存のPOSシステムにそのままワンダーレジをつなぐことができるという。