ビッグデータで医療費を抑制できる日はくるか

出展者のなかでも、熱気を感じさせたのが日本医療データセンター(本社・港区)だ。ブースの前では、マイクを片手に保健事業実施の大切さを訴える男性と資料を配る女性たちが動き回っていた。同社の強みは、業界ナンバーワンを自負する138健保組合・430万人分の「ビッグデータ」である。これを駆使して、クライアントの健康対策を一気通貫で支援している。

日本医療データセンターは医療ビックデータを活用した生活習慣病予防や健康増進のサービスを開発する。

来場した業界関係者への対応に余念がないなか、時間を割いてくれた同社カスターリレーション推進グループの工藤大グループマネージャーは「大切なのは、健康課題を可視化すること。私どもでは健康年齢に着目し、データ分析の結果を踏まえ、個人対象にそれぞれの病歴や通院歴に即したコンサルティングを行います」と語った。

これは、健保組合についても同様で、保健事業支援はもとより、一定期間後に効果検証を実施し、より良い事業設計へのアドバイスも行う。まさに、PDCAサイクルを回し、健保組合にとどまらず、保険会社や健診事業者、フィットネスクラブなどさまざまな業界からも問い合わせ、支援依頼が寄せられているという。

データヘルスのようなデジタル技術を活用するには、いくつかの段階を経なければならない。IT分野を得意とするベイカレント・コンサルティングによれば、既存事業のデジタル化が最初のステップになる。そこでは、事業者は顧客のデジタル空間に合わせたサービスを提供し、顧客は普段から使っているデジタルツールで情報や提案を受け取る。その意味では、データヘルスはまだ緒に就いたばかりといっていいだろう。医療費増大が問題になるなか、今後、こうした健康・医療分野のビッグデータの分析や健康増進サービスの開発が進んでいくだろう。