つもり貯金の落とし穴とは?

さて、そんな効用抜群の「つもり貯金」ですが、落とし穴もあるので要注意です。

その落とし穴とは、「やり過ぎてしまう」こと。

つもり貯金の効果は絶大で、その節約金額は(記録することで)ハッキリと目に見えるだけに、ついつい、必要以上にやり過ぎてしまうという中毒性があるのです。

ただ、いつも「○○したつもり」になって、なんでも我慢するのでは、つまらない人生になりかねません。

また、我慢をしすぎて、心身に不調をきたす危険性もあるので気を付けたいところです。

ちなみに私も、前述の「電車(車)に乗ったつもり貯金」をやり過ぎて、仕事・プライベート問わず、どこへでも自転車で行っていた時期がありました。ちょうど電車賃の値上げ・ガソリン代の高騰が重なった時期でもあり、その節約できる金額の大きさに目を奪われてのことでした。

1日100km近く移動する日も珍しくなく、これにはさすがに体調を崩し、そして膝を壊し、しばらく動けない日が続くことになりました。

これには大いに反省し、今では、無理のない範囲で、自転車移動を楽しむようにしています。

ポイントはゲーム感覚で楽しむこと

あと、これは私ではありませんが、「つもり貯金で200万円貯めて、車を買う」との目標を設定した知人がいました。

しかし、その目標達成のために「つもり貯金」に励み過ぎて、あらゆることを我慢し、日常生活に支障をきたすようになってしまったのでした。

目標を設定することは悪いことではありませんが、あまりにも目標に囚われてしまうと、「つもり貯金」がノルマとなってしまい、日々の生活がギスギスしてしまいます。当然、それでは長続きするはずがありませんよね。

ですので、目標ありきのつもり貯金は、(よほどの理由がない限り)あまりお勧めはできません。

目標(金額)を設定するにしても、それは「半年間で節約できたお金で、旅行に行こう」「1年間で節約できた金額は、投資に回そう」など、決して目標(金額)ありきにならないよう、ゆるいものにとどめておくことをお勧めします。

つもり貯金では、「気が付けば、こんなに節約できていた」が理想であり、つもり貯金そのものを、ゲーム感覚で楽しむことが理想なのです。

藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー

1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。