コロナワクチン接種後に病気が見つかることも…

ところで新型コロナウイルス感染症は、2023年、感染症法上では5類感染症となりましたが、高齢者にとってはまだまだ用心すべき感染症です。

これまで無料で実施されてきた日本のワクチン接種は今後、季節性インフルエンザと同じように、希望者が一部負担金を支払っての接種となる模様ですが、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を防ぐ効果があるのは間違いなく、現時点ではウイルスから自分の身を守る最善の手段といえるでしょう。

いっぽうで副反応の報告が増えているのもたしかで、ワクチン接種後に心血管障害、脳血管障害、血栓症が確認されたケースも見られます。今のところワクチン接種との因果関係はわかっていません。

ただ、ワクチン接種による免疫反応などで高熱が出ることを見ても、一部の方には健康被害に属するダメージを与えている可能性もあります。何分、mRNA(エムアールエヌエー=メッセンジャーアールエヌエー)という“タンパク質の設計図”の入った遺伝子情報を投与するタイプの集団接種ワクチンは、新型コロナワクチンがはじめてなので、副反応も手探り状態なのです。一部の方でこれまでは表面化していなかった心臓や血管のトラブルが、ワクチン接種をきっかけに表に出てしまった可能性も考えられます。

コロナワクチン
写真=iStock.com/MarsBars
※写真はイメージです

ワクチン接種後に血圧上昇を訴える人が増えた

実際、「ワクチン接種後に血圧が上がった」という患者さんが増えています。

また、大動脈解離で救急搬送される患者さんも、これまでは1カ月に1件あるかないかだったのが、多い月では2~3件に増えていた印象です。大動脈解離は前ぶれなく血管が裂けて解離し、1度目の発症で突然死する危険がある疾患です。血圧が高く、上行大動脈(心臓から出て上に向かう動脈)が太くなっている人に多く見られます。

そんな大動脈解離の患者さんが増えているのは、コロナ禍の巣ごもり生活で血圧の管理が不十分になっていることに加え、ワクチン接種による血圧上昇が引き金になっているケースもゼロとは言い切れません。しっかりした調査と解明が必要です。

そうはいっても、ワクチンは新型コロナから命を守る有効な手段です。だからこそ、心臓や血管にトラブルが起こる可能性もゼロではないと想定して対策を講じたうえで、ワクチン接種に臨むのが理想的といえるでしょう。