焦って始めるのは危険

こういう雰囲気のときは本当に要注意です。ライフプランから見て安全に運用すべきお金まで投資してしまったり、低金利だからとお金を借りて投資に回してしまったりということが起こりかねません。バブルの頃はそうでした。

また、乗り遅れまいと焦り、基本的な知識がないまま投資をはじめる人がいるようで心配です。何を買えばいいのか自分では選べないから、窓口の担当者が勧めるもので決めてしまったり、人に教えるのが好きな友人から得る情報に頼ったりしがち。いつまでも知識を身につけないままだと、相場が低迷したときに怖くなって慌てて売ってしまうばかりか、自分で選んだ納得感が薄いため、勧めた人のせいにして関係が悪くなりかねません。

目先のライフプランに影響しない長期の資産形成を目指すお金なら、今後値下がりする時期が来たとしても、我慢して将来の値上がりを待てます。また、積立投資で続けるのであれば、値下がり時期には口数を多く買えると気持ちを切り替えることができます。それも投資をはじめるにあたっての基本的な知識を身につけて、自分なりに納得して選んだからこそできることです。

繰り返しになりますが、あなたのお金を守ることに一番真剣になれるのは、あなた自身です。新NISAをきっかけに投資をはじめる方には、ちょっと面倒かもしれませんが投資にかかわるリスクや投資信託の商品性など、最低限の知識を自分のものにしてからスタートし、大切なお金を守るようにしていただきたいと願います。

失敗しない投資信託選びのステップ

投資をはじめる前提をご理解いただいたところで、大手ネット証券で新NISAを利用して積立投資を行うことを例に、投資信託の選び方と注意点を見ていきましょう。

大手ネット証券が取り扱う投資信託の本数は2000本前後もあるのですが、HP内の検索システムでつみたて投資枠専用の投資信託を指定すれば、取り扱い本数に絞られた一覧を見ることができます。

【図表1】投資信託選びのフローチャート
①投資対象は?

1番目のポイントは、「どんな対象に投資するか」を確認すること。ひとつひとつの投資信託は、「どこ」の、「どんなもの」に、「どのように」投資するかが定まっています。

「どこ」のは、日本国内なのか海外、それも先進国か新興国かをチェックしましょう。「どんなもの」は、株式が中心的な対象ですが、債券対象のものも多く、不動産で運用するREIT(リート=不動産投信)、金や原油といったコモディティ(商品)で運用するものもあります。

さまざまな国や地域の、違う種類の投資対象で運用することは、投資を行ううえでとても大切なことです。異なった投資対象を組み合わせる「分散投資」は、リスクが集中することを防ぐ鉄則だからです。