原因を探っても解決はしない

ついついケンカになるという夫婦に対し、私が使う方法は、「ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)」と言われる方法です(「解決志向アプローチ」などと訳されます)。

私たちは一般に、夫婦ゲンカの相談を受けると、その「原因」を探ろうとします。

「いったい、いつからそんなふうになってしまったのでしょう?」
「何が原因でそうなってしまったのですか?」

それは「問題の原因を突き止め、それを除去すれば、問題は解決するはずだ」と考えるからです。

諸富祥彦『プロカウンセラーの こころの声を聞く技術 聞いてもらう技術』(SB新書)
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しかし、実際にはどうでしょう。

問題の「原因」(例:夫が内緒で大事なこともひとりで決める)を突き止めて、それを解決しようとして、うまくいくことがあるでしょうか。

多くの場合、言われたほうは「責められている」と考えて、関係がさらに悪化するだけではないでしょうか。「原因探し」は「犯人探し」につながります。そして「犯人」に仕立てられた側は、「責められている」と感じて、意固地になってしまいます。責められるのを回避して口を閉ざすか、言いあいになってしまいがちです。

「例外的にうまくいっているとき」を探る

ソリューション・フォーカスト・アプローチでは、原因を探すとますます問題に絡めとられてしまうため、「問題の原因探しをするのは、解決を遠ざけてしまう」と考えます。

では、どうするのかというと、このアプローチでは「例外的にうまくいっているとき」を見つけるための質問をします。