大原則3:突然、大事な話をしない

話を聞いてもらいたい人、わかってほしい人に覚えてほしいのが、この原則です。これが案外、夫婦間、親子間、恋人間、職場の人間関係であっても、コミュニケーションの食い違いにつながっているのです。

例えば、夫がテレビでスポーツ観戦をしながら、ビールを飲んでいるとき、突然妻が夫に語りかけます。

「あのね、今日ママ友の間で、こんなことがあってね……。結果的に私、仲間外れになっちゃって、すごくつらかったんだ」

しかし夫は、完全に試合の行方に夢中です。

「あ、そうなんだ……おおお、やった、行け」
「ちょっとあなた! 話、聞いてるの⁉」

こんな状況、みなさんにも身に覚えがないでしょうか。みなさんにわかっておいてほしいのは、次のことです。

人間には、一度に二つのことができる人間と、一度に一つのことしかできない人間の、2種類がいる。

男性には一度に一つのことしかできない人間が多く、女性には一度に二つのことができる人間が多いという指摘があります。私にもその印象が強いです。ただし、あくまでも割合の問題ですので、男性だから……女性だから……と決めつけるのは、よくないでしょう。一度に一つのことしかできないという人は、女性にもいるからです。

一つのことに集中してしまうと、ほかのことはまったく入ってこなくなるのです。

相手の話をきちんと聞くためには、「聞いてみよう」と思えるためのこころの準備やそのための時間が必要です。

いきなり話を聞く、というのは無理なのです。

大原則4:相手が何かに熱中しているときに、大切な話はしない

一度に一つのことしかできない人間が何かに熱中しているときに、大切な話をいきなり切り出して、わかってもらえなくてもそれは当然です。相手にしてみると、「不可能なことを求められているとしか思えない」のです。

相手に「大切な話をしたい」「わかってほしい」「聞いてほしい」のであれば、突然、話しかけたりしないこと。

一言め「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」
二言め「いつだったら、いいかな?」

まずはこう話しかけて、「時間と場所の設定」からスタートすること。このことを決して忘れないでください。