資産防衛の意味で預貯金の代わりに金を持つ

【パックン】ドルで株を持ったほうがいいんじゃない?

【エミン】もちろん、ドルもいいと思う。

【パックン】金は成長しないですよ。1オンスが2オンスにはならないし。

【エミン】成長はしないけど、資産防衛の意味で持っています。どの程度のリスク資産を持つかを考えるときに、金はリスク資産ではないということです。

【パックン】ヘッジ資産と考えるんですね。

――どのくらいの比率で分散すればいいですか。

【エミン】資産規模によりますけど、1000万円以上を持っている人であれば、株式3~4割、米国債3割、残りの3~4割は金のように価格変動の少ないものを選ぶのも一つの方法かな。

【パックン】意外に堅いんだね。

【エミン】資産規模が1000万円ぐらいの場合だからね。

【パックン】僕は最初の1000万円でピラミッドの土台を作ることを勧めています。

【エミン】そう。無謀な投資をして資産が半分になってしまったら、ショックを受けるから、土台は堅いほうがいいね。

【パックン】1000万円程度の堅い資産の土台があれば、その上はもう少しリスキーなものを買ってもいいと思う。

【エミン】そう。

日本は投資資金をタダ同然で貸してくれる

【パックン】あとは不動産をどう考えるか。日本の住宅ローン金利はめっちゃ低いから、投資物件と考えて自分で住むのがいいと思います。地価が上がりそうな土地を見つけて、低金利のローン買って住む。いずれ値上がりしたら売ってキャピタルゲインを受け取ることもできるでしょ。最近頭金のいらないローンもあるし、そうなれば、ほぼゼロ金利で投資資金を借りたことになりますよ。

【エミン】日本のいまの金利はほぼタダだから、確かにメイク・センス(納得できる)。ただ、都内の不動産価格は新築マンションの平均で1億円を超えているから、一般の人は買えなくなっているよね。

【パックン】都心は難しいけど、たとえば15万円の家賃を払っているなら、それをローンの返済に回して地価が安定するエリアで物件を買ったほうがいいと思う。それぞれの立場で考えるべきだけど、自分が住む不動産も資産の一部にできたら、それに越したことはない。

【エミン】そうだね。

スタイリング=末次秀彦(パックン)衣装協力=perky room STYLIA(エミン) 構成=向山 勇

パトリック・ハーラン(Patrick Harlan)
お笑い芸人

芸名パックン。1970年、米・コロラド州出身。93年、ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。福井県で英語教師を務めた後、97年、吉田眞と「パックンマックン」を結成。著書に『逆境力』(SB新書)など。

エミン・ユルマズ(Emin Yurumazu)
エコノミスト

トルコ・イスタンブール出身。2004年に東京大学工学部を卒業。2006年に同大学新領域創成科学研究科修士課程を修了し、生命科学修士を取得。2006年野村證券に入社。2016年に複眼経済塾の取締役・塾頭に就任。著書に『夢をお金で諦めたくないと思ったら 一生使える投資脳のつくり方』(扶桑社)、『世界インフレ時代の経済指標』(かんき出版)、『大インフレ時代! 日本株が強い』(ビジネス社)、『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)『米中新冷戦のはざまで日本経済は必ず浮上する 令和時代に日経平均は30万円になる!』(かや書房)などがある。