女性だから優遇されることもある

今後も、性差別や年齢差別を感じてしまうことはあるでしょうし、そのたびにへこむでしょう。でも、それもバネになるのだからと前向きに捉えていくつもりです。

馬渕磨理子さん
撮影=プレジデントオンライン編集部

逆に、今は女性だからという理由で優遇されるケースもあります。同じ分野に同じように優秀な男女がいたら、数のうえでの平等を果たすために女性を選ぶといったことですね。経営層に女性を増やそうということで、社外取締役に女性を据える企業も少なくありません。

私自身も、ある企業の社外取締役を務めています。女性優遇だ、不公平だと思っている人もいるでしょう。でも、だからこそちゃんと責務を果たしたい。「優遇されたんだろうけどあの人だったら仕方ない」と納得してもらえるだけの仕事をしたいと思っています。

今は自分が培ってきたものを出し尽くして、企業価値を高めるための提案をしているところです。どんな仕事もいただいた以上は精一杯やりたいからです。向かい風が吹くこともありますが、そんな状況も自分を高めるための糧になっています。

いつか経営層に女性がいることが普通の時代が来るように、自分にできることは何でもしていきたいですね。今の自分の行動が10年後の日本の男女平等のありかたを決めると言ったら大げさかもしれませんが、そんな思いを持って仕事に取り組んでいます。

本当は何を大事にしたいのか

もし、かつての私と同じように結婚やキャリアに悩んでいる人がいたら、いったん立ち止まって「自分は本当は何を大事にしたいのか」を考えてみてほしいと思います。自分が所属するコミュニティー、たとえば家族や職場などが結婚や昇進を幸せとしているからといって、それが自分の本心と一致するとは限りません。

ですから、悩んだときは所属するコミュニティーといったん距離を置いて、「自分」を主語にして考えてみてほしいのです。自分は何に価値を置いているのか、どんな人生を歩みたいのか。そうした本心をわかったうえで進めば確信を持って歩んでいけますし、後で後悔もしないのではないかと思います。