個人向け社債は利率が高いため、発売されるとすぐに完売するものもある。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「問題は発行元の破綻リスク。私は格付けをチェックして購入するかどうかを判断している」という――。
上向きの矢印が描かれた木製ブロックが積み重なる上にパーセンテージマークが描かれたブロックを置こうとしている手元
写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
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楽天モバイル債は「債券」の一種

今年2月に発行され、話題となった「楽天モバイル債」。

この商品をザックリ説明すれば、楽天グループに「もしも」のことがなければ、年間3.3%もの利息が受け取れ、2年後の満期にはしっかり元本が戻ってくる商品です。

かなり迷いはしたものの、私はこの商品を購入しました。

それから約半年が経った今、あらためて、この商品を購入した経緯を振り返ってみたいと思います。

この楽天モバイル債とは、債券です。債券とは、一言で言えば「借用証書」。

すなわち、債券の発行体にお金を貸して、定期的に利息を受け取り、満期になれば、お金を返してもらうという商品です。

利息については、株式の配当金と違って、あらかじめ、受け取れる金額は決まっています。また、株式と違って、「満期になれば元本が戻ってくる」という安心感があります。

ただ、債券の発行体(お金を貸した相手)に「もしも」のことがあれば、利息が受け取れず、元本が戻ってこない可能性もあります。

とはいえ、債券の発行体は、国(国債)や地方自治体(地方債)、民間企業(社債)です。民間企業については、債券を発行するための一定基準を満たした企業であり、相応の規模・財務内容は担保されています。

ゆえに債券は、一般に、株式等と比べて、安全性の高い商品とされているのです。

高い利率を狙うなら、個人向け社債

ただ、とくに安全性が高いとされる国債や地方債だと、その安全性も収益性も、預貯金とさほど変わりません。たとえば、われわれ個人にとって、最も身近で有名な債券である「個人向け国債(変動10年物)」の適用利率は、現在0.43%(税引前)となっています。

しかし債券の中でも、一部の社債においては、それなりの利率が見込めるものも少なくありません。

たとえば、「SBIホールディングス」「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「ソフトバンク」などが最近発行した社債は、1~2%台もの利率となっています。

ちなみに、個人で買える社債は限られており、それらは、個人向け社債と呼ばれています。

この個人向け社債は、超低金利の世の中でも、(ある程度安全性が担保されたうえで)預貯金を大きく上回る利率が狙える商品として、知る人ぞ知る、投資商品なのです。