ベトナム、日本はアジアの英語後進国
楽天とユニクロが社内公用語を英語にするという“楽ユニショック”は日本のビジネス社会に衝撃を与えた。しかし両社が、グローバル企業を目指すのであれば当然のことで、むしろ遅すぎたくらいである。公用語を英語に、というだけで過剰反応している物知り顔の経営者が多いが、「出入りの業者にも英語で挨拶させるのか?」などと頓珍漢な反論をしている。
私は社内公用語が英語になっているマッキンゼーで23年過ごしたが、頓珍漢なことは全く起こらなかった。日本の顧客には日本語でやるのはもちろんのこと社員同士の話し合いも日本人しかいないときは日本語である。しかし、いろいろな国籍や事務所の人が交ざってきたり、正式な社内書類は当然英語となる。効率が一番いいし、意思疎通が進み誤解が少なくなる。世界に分散した事務所のオペレーションの透明性も高まる。
私はかねてから「英語」「IT」「財務」がビジネスマンの必須スキルだと提唱し続けてきた。特に英語に関してはもはや単なる外国語ではなく、世界のプラットフォームにおけるコミュニケーション・ツールだ。先進国はもちろん、新興国でも多くの大学の授業は当たり前のように英語だし、政治でもビジネスでも世界のリーダーたちは当たり前のように英語で個人的なコミュニケーションを取る。上昇志向が強く、エネルギッシュな国の若者たちは皆、英語を話す。アメリカ、イギリスが好きか嫌いかなど関係ない。
私自身の海外経験からもいえる。私は仕事柄、中国に行く頻度が高いが、最近は中国語ができなくて不便を感じることはほとんどなくなった。10年ほど前は一流ホテルでさえ英語が通じなくて苦労したものだが、中国人の英語能力は急速に上がってきていて、今はビジネスに関することなら英語で済ますことができる。