2012年9月11日(火)

“上司の仕事をとる”人が出世する理由とは

プロサラ式 仕事のお悩み相談室【21】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
俣野 成敏 またの・なるとし

俣野 成敏

1993年、シチズン時計株式会社に入社。大企業の安息の日々もつかの間、社の赤字転落によって30歳でリストラ候補になり、転職、起業の余地がないダメ社員に未来はないと一念発起。役職経験・小売経験・有力人脈を一切欠いたまま、メーカー直販在庫処分店を社内にて起業し、老舗メーカーの古い価値観を逆風に受けながら、30代の内に年商14億企業に育てあげる。その功績が認められ、33歳で現役最年少の役員に昇進し、さらに40歳で本社償還、史上最年少の上級顧問に就任する。この体験を元に執筆した著書『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)は図解版と合せ、シリーズ累計11万部のベストセラーに。中国語版、韓国語版の出版が決まっている。2012年6月、同社を退職。現在、複数の事業を経営する傍ら、サラリーマンの自己実現を応援すべく、社会人や大学での講演、執筆活動等に取り組んでいる。

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俣野成敏 撮影=尾関裕士
Q 俣野さんのご著書『プロフェッショナルサラリーマン』に、「出世するためには上司の仕事をとれ」と書いてありました。この「上司の仕事をとる」とはどういうことか、いまいちイメージがわきません。具体的にはどのようなやり方がありますでしょうか。(県庁、女性、27歳、入社5年目)


A 「上司の仕事をとる」というと、まるで「上司のやることをすべて奪って窓際に追い込め」と言っているようですが、そうではありません。奪うのではなく、上司が自分の仕事だと思っているであろうことを、部下であるあなたが先回りしてやっておくということです。

会社が組織である以上、上司は自分より責任ある仕事をやっているはず、ということが前提になります。

従って、部下であるあなたが、教えて貰ってもいない上司の仕事をこなしていけば、その上司は、「この仕事はこいつに任せてもいいか」という心情を必然的に持つことになります。

つまり、上司が抱えている仕事のうち、自分でもできそうなことから可能な限り代わりに引き受ける。それが「上司の仕事をとる」ということです。

たとえば、あなたが何かいいアイデアを思いついたとします。それを実現するには、提案書を書いて中間管理職である直属の上司に見せる必要がある。この提案書をあなたに持ってこられたときの上司の気持ちを想像してみてほしいのです。

部下が目を輝かせて、提案書を持ってきた。読んでみると、なかなか目の付けどころがいい。これはぜひとも頑張っている部下を支援したいと思います。でも、ほとんどの上司はここで、「でも、ちょっと待てよ」と思ってしまう。

「もしこの提案にOKを出したら、今度はオレが自分の名前で提案書をつくって、部長にプレゼンしないといけないんだよな。そうでなくてもプレイングマネージャーとして大変なのに、またオレの仕事が増えちまうな」

でも部下にこんな本音を言うわけにはいかない。だから「ここのところ、惜しいね」とか、「まだ提案する時期じゃない」と言って、部下が直して再提出するまでの間、時間稼ぎをすることも珍しくありません。

ところが、提案書に最初から自分の名前が書かれていて、自分の役割も考慮されていたらどうでしょう。上司は手間が省けるだけでなく、「こいつ、オレに手柄を譲ろうっていうのか」と感激する。「こいつは自分のためだけじゃなく、会社全体を考えて仕事をしているんだな」とも思うはずです。これが上司の仕事をとるということです。

もうひとつ、例を挙げましょう。たとえば上司から何か買い物を頼まれたとします。「これ、買っておいて」といって付箋を貼ったアスクルのカタログを渡される。あるいは商品を紹介したサイトのURLを張り付けたメールが来る。普通はそれを「わかりました」といってそのまま注文するだけです。

でも上司の仕事をとろうと思っているなら、こんなときどうするか。それは、同じものでも、もっと安く買えるところを探すのです。いまはインターネットで検索すれば、どこが一番安いかはすぐに調べられる。同じものであれば、経費節約は直接利益に反映しますから、「ご依頼の型番商品をネット最安値で購入しておきました」とやるのです。

本来は上司が経費削減の責任を負っているわけですから、一箇所で発注できて便利だからという理由で、すでに使っている業者より会社にとってお得な購買をするという行為も、上司の仕事をとったことになります。

あるいはコピーを頼まれたとき、「何に使うんですか? 会議の資料なら、ホチキスでとめておきますね」という一言を加える。そうやって気を利かせることで、上司が「ホチキスでとめてくれ」と指示する手間を省いてあげるのです。

つまり上司に何か頼まれたら、どんなに小さなことでもいいから、期待以上のプラスアルファをつけて返すようにする。その思考が、いざ上司という立場になった時の日々のトレーニングなのです。

出世という言葉はちょっと古臭いけれど、「昇進」とか「上司に認められる」と言い換えても同じことです。これはものすごく努力して大きな成果を上げないとできないイメージがありますが、実際はこんな小さなことの積み重ねです。

自分が「これ、やっておきました」と言うことで、上司に「えっ、ここまでやってくれたのか。ありがとう」と言わせることができるかどうか。

こんなふうに上司の負担を減らすよう心がけていても、必ずしも認めてもらえるとは限らないし、「ありがとう」と言われないこともあるはずです。

しかし、上司の仕事をとろうという発想で仕事をしている人を世間が放っておかないことだけは間違いありません。一段高い視点を持って仕事に取り組むというのは、こういうことをさすのではないでしょうか。

※本連載は書籍『プロフェッショナルサラリーマン 実践Q&A』に掲載されています(一部除く)

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