「非農業部門雇用者数」が15万~20万人なら好調

雇用統計のひとつである「非農業部門雇用者数」の数字は、マーケット関係者が常に注視している経済指標です。これは自営業者と農業従事者を除いた雇用者数の増減を、前月比で見るもので、大体15万~20万人増であれば好調と考えられます。

逆に、景気が悪化すると前月比で大幅マイナスということも起こるのですが、リセッション(景気後退)が最終局面に近づくと、非農業部門雇用者数の数字は徐々に上昇していきます。

トレンドから見て上昇の兆しが見えてきたら、不景気もようやく終わりに近づいていると判断できるのです。

景気は一般的に「拡大局面」と「後退局面」があり、その繰り返しを景気サイクルと称しているのですが、米国ではこれをNBER(全米経済研究所)という機関が判断しています。日本だと内閣府がその任に当たっています。

米国のリセッション期間は平均11カ月

米国では1854年以降、34の景気サイクルがあり、かつ第二次世界大戦以降では12の景気サイクルが認められています。

そのうち、リセッションの期間を平均値で見ると、大体11カ月程度と言われています。したがって、米国の景気がリセッション入りして11カ月程度の時間が経過した後、非農業部門雇用者数の数字が上昇しているかどうかを確認します。

アメリカ国旗と株価チャート
写真=iStock.com/TexBr
※写真はイメージです

もし上昇していれば、いよいよリセッションも終わりに近づいたと考えられるのです。その意味では、景気の転換点を把握するうえで重要な経済指標といえるでしょう。

その他、雇用統計に関連した数字で見ておくべきものは、たとえば製造業における労働時間です。製造業は比較的、景気に敏感なところがあるので、景気が転換するサインになります。

具体的には、この労働時間が40時間を下回ると景気後退局面のサイン、40時間を超えてくると景気拡大局面のサインと考えられます。こちらは事業所調査でわかります。