叱られて育った子はあとの伸びしない

大事なことは、前向きな気持ちで、「次はこうしてみよう」と思えるようになること。責めたり叱ったりすることでは、学びへの積極性は生まれません。

もし、叱ることで勉強するようになったと感じるのであれば、「次は叱られないようにがんばろう」という消極的な気持ちからくるものです。

叱られないように勉強している場合でも、ある程度のレベルにまで達する子もいるかもしれません。しかし、学ぶことが「楽しい」という気持ちが根元にないため、のちのち伸びていくことができないでしょう。

「間違えるのが怖い」から自由記述を書かずに出す

さらに、叱られて育った子は「間違えるのが怖い」と考える特徴があります。

佐藤 智『SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること』(ディスカバー・トゥエンティワン)
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このタイプの子は、自由記述問題に取り組む際に「間違えるのが嫌だから書かない」という選択をしてしまいがちです。

とくに国語では、「自分の思ったことをまず書いてみよう」「気持ちを表現してみよう」といった姿勢で、失敗を恐れずに取り組んでみることが大事なのですが、間違えるのが怖い子はこのような向き合い方ができなくなってしまいます。

怖がらずに、自分の考えを表現できる子に育てるには、その子自身をしっかりみつめながらスモールステップで褒めることが重要です。

親の理想を押しつけるのではなく、子どもの伸びをみていけるといいですね。

佐藤 智(さとう・とも)
教育ライター

横浜国立大学大学院教育学研究科修了。中学校・高校の教員免許を取得。出版社勤務を経て、ベネッセコーポレーション教育研究開発センターにて、教育情報誌の制作を行う。現在は教育現場の情報をわかりやすく伝える教育ライターとして活動中。著書に『公立中高一貫校選び 後悔しないための20のチェックポイント』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本』(共著/翔泳社)がある。