先が見通せない不確実な時代。現役のいまだからこそ、将来のゆとりを考えて資産形成をしたい。そのためのポイントをファイナンシャル・プランナーの山崎俊輔氏に聞いた。
1級DCプランナー/AFP(2級FP技能士)/消費生活アドバイザー
企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当などを歴任。企業年金、投資教育、金銭教育などが専門。雑誌、ウェブサイト、講演をはじめ、多方面で活躍。近著に『お金の知恵は45歳までに身につけなさい』がある。
投資、資産運用に関して
“誤解”をしていないか?
──ファイナンシャル・プランナーとして、40代の投資や資産運用の現状についてどう思われますか。
山崎 投資、資産運用をする以前の入り口で、「怖い」と思い込んでいる方が少なくないように感じます。その原因の1つになっているのが、ある種の“誤解”でしょう。例えば、「投資をすると大金を失う」「まとまったお金がないと始められない」……。本来、投資というものは、「0か100か」といった投機ではありませんし、少額から始められるものも存在します。もちろんリスクと付き合うことにはなりますが、「投資=危険」というのは明らかに間違いです。
それにもう1つ、「資産運用はなくなってもいいお金で始めるべき」という言葉もよく聞きます。しかし、これも額面どおりに受け止めると、運用はスタートできません。実際、一般の現役世代で「なくなってもいいお金」を持っている人はほとんどいないからです。いずれにしてもこれからの時代、お金の問題について“受け身”ではいられません。自ら考え、行動することが必須といえます。
──これから資産運用を考える人は、まず何から始めるべきでしょうか。
山崎 一言でいえば「知識」と「知恵」をバランスよく身に付けることでしょう。資産運用においては、具体的な金融商品の内容や仕様などを知ることももちろん大事。いわばこれが「知識」の部分です。一方、「知恵」というのは自分の置かれた状況や目的に即した情報を入手し判断する能力のこと。これがないと、いくら「知識」だけを詰め込んでも、それを生かすことができません。
例えばある金融商品の説明を受けた後、「ほかに同程度のリスクの商品はありますか」「なぜ、手数料が別の商品とは違うのですか」などと質問できれば、まずは合格でしょう。自ら取りにいかないと引き出せない情報を得ることが、自分の身を守ることにつながるのです。
──やはり受け身ではなく、能動的である必要があるわけですね。
山崎 そのとおりです。かつて、例えば高度成長の時代であれば、そのようなスタンスは必要なかったかもしれません。なぜなら当時は、周りの人と同じように行動していれば大きな問題はなかった。しっかり定期預金をしておくだけでも、ある意味では十分な資産運用になりました。しかし現在は個人個人によって、状況も、将来に求めているものもかなり違います。進むべき道は、自分で決めなければならないのです。