がんのタイプごとに薬物治療の選択が異なる

もし検診で異常を指摘されたら追加検査を行い、がんが疑われる場合は細胞や組織を採取して診断を確定し、同時に乳がんのタイプを調べます。広がりや転移の有無を調べて、治療方針を決定していきます。検診で引っかかり、最終的にがんが見つかる人の割合は30人に1人くらいの割合です。

乳がんの治療は手術や放射線、薬を組み合わせて行います。乳がんにはさまざまなタイプがあり、それによって治療薬が異なります。ホルモン受容体やHER2(ハーツー)が陽性か陰性か、がん細胞の増殖能力が高いか低いかといった組み合わせによって、図表2のような5つのサブタイプに分けられます。

【図表】乳がんのタイプ

5つの乳がんタイプ

ルミナルA・ルミナルBタイプ乳がん
ホルモン受容体陽性・HER2陰性 乳がん全体の70〜75%
女性ホルモンで増殖するタイプ。女性ホルモンの働きを弱めるホルモン剤の内服がよく効く。さらに、がん細胞の増殖能力が高いか低いかで2つのタイプ(ルミナルAとB)に分けられる。増殖能力が高い場合は抗がん剤を追加する。

HER2タイプ乳がん
HER2陽性・ホルモン受容体陰性 乳がん全体の5〜10%
がん細胞の増殖に関わるタンパク質、HER2ががん細胞の表面に多く存在しているタイプ。HER2たんぱくの働きを抑える分子標的薬と抗がん剤を組み合わせて使う。

ルミナル・HER2タイプ乳がん
ホルモン受容体陽性・HER2陽性 乳がん全体の10〜15%
女性ホルモンとHER2の両方で増殖するタイプ。ホルモン療法と分子標的薬、抗がん剤を使う。トリプルポジティブとも呼ばれることも。

トリプルネガティブ乳がん
HER2陰性・ホルモン受容体陰性 乳がん全体の10〜15%
ホルモン受容体もHER2も陰性で、明確な治療標的がない乳がんの総称。抗がん剤を使う。トリプルネガティブタイプは悪性度が高く予後が不良とされていたが、最近、PARP阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬といった新しい治療法が承認され、治療選択肢が広がってきた。