ビジネス書大賞2012最終候補の9作品。海外からも学ぼうとする傾向からか、翻訳書もランクイン。

ビジネス書大賞2012が発表された。この賞は、書店員や書評家、編集者など、出版のプロからなる実行委員会が、その年を代表するビジネス書を選出するというもの。3回目の今年は、『僕は君たちに武器を配りたい』(瀧本哲史著/ 10万部)と『スティーブ・ジョブズ(I)(II)』(ウォルター・アイザックソン著/計102万部)が大賞に輝いた。ほかに書店賞と特別賞をそれぞれ、『究極の判断力を身につける インバスケット思考』(鳥原隆志著)と『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』(西川善文著)が受賞した。

これら受賞作品を含む最終候補作品からは、これまでとは違った傾向が見えてくる。数年前まで主流だったスキルやノウハウ本に代わり、歴史や教養、物事の考え方など本質にアプローチしたものや、評伝系のノンフィクションが目立つようになっているのだ。

その背景について、出版マーケティングコンサルタントの土井英司氏は「時代の転換期にさしかかり、5年後や10年後を見据えながら自分で考え、行動するための判断基準を求める傾向が強まっているのでは」と推測する。

「特に昨年の東日本大震災で情報リテラシーの大切さを痛感し、自分の評価軸や判断力を養いたいと考えた人が多かったと思われます」

物事の本質を探究する傾向はしばらく続くだけでなく、「今年はさらに『攻めの傾向』が強まりそうだ」と土井氏は予測する。現在書店でランキングが上がっている『「超」入門 失敗の本質』(鈴木博毅著)をはじめ、変革や挑戦を説く本が売れ始めているという。

「現状を守るだけでなく、多少のリスクを冒しても変革しない限り、いまのジリ貧状態からは抜け出せないことに皆が気づき始めています」と土井氏。もしそうなら、日本のビジネスマンが元気を取り戻す日も近い!?