弁護士の白川勝彦氏は、かつて衆議院議員を6期務め、自治大臣や国家公安委員長などを歴任した人物だ。その白川氏でも、2004年と06年の2度、警察官から職務質問を受けた経験をもつ。

PIXTA =写真

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自身のホームページにその顛末を記している。04年11月の昼ごろ、渋谷駅近くの広い歩道で、4人の警察官にいきなり囲まれた。4人は「ズボンのポケットの中を見せろ」と言いながら、ポケットを強く触ってくる。白川氏は「私は見せる気がない。何で触るんだ」と抗議した。すると警察官は「なぜ見せられないのですか。ますます見なければなりません。体に触るのは、許されているのです」と言う。

4人の囲みは20分ほど続いた。周囲には人だかりもできていた。白川氏は自らの身分を明かし、「署長に面会したい」と言って渋谷署に移動する。署で警察官の上司らとやり取りを重ねるが、埒があかない。すると旧知の副署長に声をかけられ、すぐ詫びを入れられた。副署長は「今日のことはこれ限りにしてほしい」と話した――。

白川氏はこの後、06年12月の昼ごろにも、同じ渋谷区の路上で2人組の警察官から職務質問を受けた。このときは、「私は公安委員長をやったものだが、また渋谷署は恥をかきたいんですか。前回のことは知っているでしょう」と言って、立ち去った。今度は追いかけてはこなかった。

2度の経験について、白川氏は話す。

「警察官の職務質問は確かに法律で認められています。しかしポケットや鞄の中を見せるように求めるのは、本来の警察活動から逸脱している。警察の現場では相手の所持品を確認するように教えられているのでしょう」

法的根拠である警察官職務執行法(警職法)は以下の通りだ。「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる」(二条一項)。