今、家を買うべきかどうか。結論から言うと、その人のライフスタイルで、買うかどうかを考えるべきだ。家を買う環境自体は悪くはない。金融機関の住宅ローン金利は、2~3年前より優遇されているし、住宅価格も下がっている。住宅ローン控除も拡充されている。買いやすいことは事実だが、収入がついていけるのかが重要だ。

貯蓄が急減するなら今、家は買うな

ファイナンシャルリサーチ代表 深野康彦●1962年生まれ。2006年から現職。著書には『家計崩壊──「見えないインフレ」時代を生きる知恵』など。

住宅を買う場合、一般的には、住宅ローンを組むことになる。2010年度から「子ども手当」の支給が始まる予定だが、本当に教育費がかかる高校生や大学生のいる家庭には出ない。しかも、今40歳前後で、子供が小学生くらいの人は、子供が高校生や大学生になる頃には、収入が頭打ちになる可能性もある。

今後も収入が増え続けて余裕があるか、住宅ローンを返済しながらでも貯蓄を増やせるのなら、家を買ってもいい。給料が激減したり、失業しても、貯蓄を取り崩して当座は生活していけるからだ。だが、ローンを組んだことで貯蓄額が急減するなら、やめたほうがいい。今まで例えば、年収800万円の人で月6万程度の貯蓄ができていた場合、その半分程度の3万円の貯蓄が続けられるかどうかだ。終身雇用も賃上げも期待できない環境下では、貯蓄という「保険」をかけておく必要がある。

また、ローンを組む場合、一般的には、頭金の割合を大きくし、毎月の返済額を抑えることがよしとされる。金利リスクを重視するからだ。しかし、今は重視すべきは、金利リスクではなく、収入減のリスク。もちろん、100%ローンは避けるべきだが、購入価格の30%を頭金に充てられる資金があるなら、それを25%にとどめ、返済期間も25年をあえて30年にする。残ったお金は貯蓄し、返済額が減った分も貯蓄に充てる。