自己肯定感が低いほど、人の苦しみを請け負ってしまう

本人は「無価値なのがバレる恐怖」でパニックになってしまう、と思っています。

人の反応にものすごく敏感で自分の恥ずかしさ、虚しさが相手にバレてしまう恐怖で「頭が真っ白になる」と心のどこかで思っています。

でも、実際は「自分には価値がない」と思っていると、「他人の苦しみを請け負うしか価値がない」となってしまうんです。

そうして自己肯定感が低ければ低いほど、他人の苦しみを請け負う役割を自動的に選択してしまうようになります。

会議の場面で「頭が真っ白になる」というのも、それは「自分が緊張してパニックになっている」と思っているのですが、実際は「会議の司会者が苦しんでいる」のを請け負ってしまって「頭が真っ白になる」という状態です。

ストレスで落ち込む女性
写真=iStock.com/Chinnapong
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隠してきたコンプレックスも「頭が真っ白」の原因に

私は学生時代に「グループで輪になって、一人ずつ立って演技をする」という授業を受けさせられました。

もちろん私は演技が苦手だったので「どうしよう?」とビクビクしていました。

そして「私は人前で恥をかくのが怖いんだな」と思っていました。

ところが、私の順番が来るはるか手前で、綺麗な女の子が演技をしているのを見ていたら、隣にいた友達に「お前、何でそんな真っ赤な顔になっているの?」と指摘されてびっくりしました。

確かに、その女の子の順番になって立ち上がった瞬間、私は頭が真っ白になって「ここから飛び出して逃げたい!」という気持ちになってしまっていました。

しかも、真っ白な頭とは真逆に、自分の顔が赤くなっていることなんて全く気がつきもしませんでした。

女の子の演技が終わったあとには私の顔の赤さも引いたので、周りから「お前、あの子のことが好きなんだろ!」と冷やかされるほどでした。

私は、周りからは自己肯定感が低いとは全く思われていなかったのですが、自分の心の中のどこかではものすごく惨めで薄汚れていて醜い存在と感じていて、その自己肯定感の低さを見ないようにしていました。

自分から見ないように隠していた自己肯定感の低さによって、他人の苦しみを請け負う役割を自動的に選択するようになっていたのです。