インドの人身売買から子どもを守る
かものはしプロジェクト
認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)

今、私たちがこうしている間にも世界では、だまされて、たった2万円で売春宿に売られてしまう少女がいる。性的搾取を目的とした人身売買の被害にあっている子どもは、世界に年間約100万人。最も被害者数が多いのがインドだ。そこで「子どもを取り巻く不条理をなくす」ために活動しているのが、かものはしプロジェクトだ。

女性蔑視の文化が根強く残るインド。最も被害が多い西ベンガル州の村で女性たちの話を聞く村田さん。写真提供:かものはしプロジェクトともに?Siddhartha Hajra
女性蔑視の文化が根強く残るインド。最も被害が多い西ベンガル州の村で女性たちの話を聞く村田さん。(写真提供:かものはしプロジェクト©Siddhartha Hajra)

共同創業者の村田早耶香さんは、19歳のときに児童買春問題について知り、2002年に同NPOを立ち上げた。「サバイバー(人身売買の被害者)に寄り添って、共に声を上げる支援」「社会の仕組みを変える支援」を両輪に、2024年までに性的搾取を目的とした人身売買をなくそうと奔走している。

「やっと売春宿から救出されても、家族や周囲から受け入れられず、生きづらさを抱えてしまう人も多い。そんなサバイバーの心をケアし、一人一人に寄り添った支援を行っています」

被害者たちが声を上げ社会の仕組みを変えていく

一方、少女をだまして売春宿に売り渡す仲介人(トラフィッカー)が有罪になり、処罰されることはほとんどない。そこでインドでは、現地パートナー団体と協力し、国に働きかけて捜査機関を設置するなど、取り締まりの強化や裁判の支援を行う。

問題を解決し、社会の仕組みを変えようと、力を合わせて活動する女性たち。
問題を解決し、社会の仕組みを変えようと、力を合わせて活動する女性たち。(写真提供:かものはしプロジェクト©Siddhartha Hajra)

「“これ以上自分たちのような被害者を出したくない”と声を上げ、リーダーとして社会の仕組みを変えようとしているサバイバーもいます。彼女たちは、私たちの希望です。これからもサポートを続けていきたい」

活動は今、新型コロナウイルス感染拡大により重大な局面を迎えている。「全土封鎖と大型サイクロン被害が重なり、家も雇用も食料もなく、生きるために法外な利子で借金をする人も少なくない」。今後も「生き延びるため」の支援が必要だ。

構成=ホシカワミナコ 撮影=エレファント・タカ、堀 隆弘

秋山 真由美(あきやま・まゆみ)