ノイキャンエクササイズ3 インナーチャウチャウ犬

これは自分を客観視するためのエクササイズです。

メンタルノイズを見つけることも客観視のひとつですが、そういう具体的ななにかが対象にないと、自分を客観的に見るというのは意外と難しいものです。いつのまにか主観的になったり、感情的になったりしてしまいますよね。

山根洋士『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)
山根洋士『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)

そこでおすすめしたいのが「インナーチャウチャウ犬」を心の中で飼うこと。嫌なことがあったり、うまくいないことがあって、「どうせ私は……」「私はきっと……」と悪い妄想がはじまったら、「ちゃうちゃう!」と否定してもらうんです。

バカバカしいと思うかもしれませんが、これは心理学でいう脱中心化。視点を変えて、自分を俯瞰するエクササイズになります。

猫がイメージしやすいなら「インナーにゃんでやねん」でもいいですし、モチーフはなんでもかまいません。とにかく自分以外の視点をわかりやすいイメージで用意しておくことが大事です。

ノイキャンエクササイズ4 自分実況中継

これも自分を客観視するためのエクササイズです。やり方は、簡単です。

自分の動作を一つひとつ言葉にしてみるだけ。ひとりでいるときだったら口に出してもいいですし、頭の中で言葉にするだけでもオーケーです。

本のページをめくった、足を組み替えた、テーブルの上のマグカップに手を伸ばした、コーヒーの入ったマグカップを口元に近づけた、コーヒーを飲んだ。

こんなふうに、自分の動作をひたすら言葉にします。そうすると、自分を第三者の目線で見ているような感覚に、自然となってきます。

言葉にできるのは、自分を客観的に見ているからです。小さなことから実況中継に慣れていけば、そのうちに「自分は今怒っている」とか「ガッカリしている」とか、まわりが見えなくなりそうなときにも冷静になれるので、おすすめです。

山根 洋士(やまね・ひろし)
心理カウンセラー

心のクセを直す「メンタルノイズ」カウンセラー(心理カウンセラー)。一般社団法人メンタルノイズ心理学協会チェアマン(会長)。大阪府出身。早稲田大学中退。両親の離婚、熱中していたスポーツの挫折、就職の失敗などを経て、情報誌編集者からノンフィクションライターとして独立。心理療法を学び、カウンセラーになる。著書に『「自己肯定感低めの人」のための本』、『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのスゴイ「聞く技術」』(いずれもアスコム)などがある。