5 「ないものねだり」ではなく「あるもの感謝」を

「もっと理解のある上司だったらいいのに」「もっとルックスがよかったらいいのに」……、前回もお話ししましたが「ないものねだり」は、自分のないものに注目して、自分自身を否定してしまう行為。自己肯定感を下げる大きな原因になります。

そうではなく、今あるものに感謝して過ごすこと。「自分はこれで大丈夫」「これでいいんだ」と満たされる気持ちが、自己肯定感をアップさせてくれます。

なかでも身近な「衣食住」に感謝することは、とても大切です。ぜいたくとまではいかなくても、今日着る洋服があって、食べるものがあって、住むところがある。当たり前の環境も改めて考えてみると、すごく恵まれていることなのです。

そういうことに感謝していくと、通勤ひとつとっても、電車を運転する人がいるから時間通りに会社に行けるし、食べ物があるのもスーパーの店員さんがいるから買える。自分の人生は、たくさんの人に支えてもらっていること、そしてこのままでも十分に満たされていることに気づき、これ以上、上を目指す自分は違うのではないか、今の自分で大丈夫なのではないかと思えます。

こうした5つのことを毎日意識して取り組むうちに、3カ月ごろから自分が変わるのが実感できるはずです。ぜひ実践してみてください。

構成=池田純子 写真=iStock.com

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。