若者に刺さった無印良品の取り組み

【原田】企業も、若者が自分ごと化して考えられるように説明することが大事なんだね。じゃあ消費の面ではどうだろう。SDGsへの取り組みを若者の消費に結びつけるためには、企業はどうしたらいいと思う?

【鈴木さん】「商品とは関係ないけど会社としてはSDGsに取り組んでいます」だと、そこに魅力を感じる子しか買わないし、そういう子はまだ少数だと思います。それに、そういう打ち出し方をされると、ステイタスとして取り組んでいるように見えちゃいますね。デザインや価格で選んだら、たまたまSDGsを重視しているブランドだったっていうのがいちばん理想的かな。

【原田】それは商品ジャンルによっては難しいよね。例えば今、アメリカの若者の間では「オールバーズ」というブランドのスニーカーが大ヒットしているんだけど、それはデザインや履き心地のよさがうけているんだ。でも実は、ここの靴は廃材でつくられているんだよ。かっこいいと思って買ったら、環境に配慮した商品だった──。確かに理想的だけど、もっと一般的な企業、例えば生活商材のメーカーとかはどうしたらいいのかな。

【島本さん】無印良品の「自分で詰める水」は、いい取り組みだと思いました。ペットボトルのゴミを減らすために、店頭で無料給水サービスを始めたんですよ。マイボトルを持って行ってもいいんですけど、おしゃれな専用ボトルも売っているのでついほしくなっちゃいますね。タダで水がもらえるって若者にとっても得だから、大勢が興味を持つと思うんです。それがきっかけで環境問題を意識するようになるかもしれないし。

【原田】もし無印を真似して、しかも来店目的、つまり、自社の売り上げアップのために行う小売が増えたとしたら、それに対してはどう思う?

【島本さん】集客のためでも全然いいと思います。若者もお店も環境も皆Win‐Winってことですよね。私からすると、いきなり「環境にいいことしよう」って言われても、自分にメリットがないと興味が湧かない。潔く「水がタダだから来てね」って言ってくれたほうが好感が持てます。レジ袋をエコバッグに置き換える活動も同じ。環境にいいとかじゃなくて、エコバッグがかわいければ皆そっちを使いたくなると思うんですよ。