経済活動の再開が目前だったニューヨークでも人種差別への抗議デモが活発に行われ、略奪行為による被害も深刻な状況だ。現地に暮らす小西一禎さんが、デモの参加者を取材、リポートする。

板で覆われたショーウインドー

米中西部ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を膝で押さえつけられて死亡した事件を受け、人種差別への抗議デモが全米各地に拡大している。暴徒化した一部による略奪行為も広がり、とりわけ、経済再開を間近に控えたニューヨーク市は、有名デパートやシャネルが襲撃されるなど深刻な被害に見舞われた。新型コロナウイルスの震源地と化した後、市民の自粛努力で状況は好転していたが、思わぬ形でデモが活発化し、作り出された密集空間での感染再拡大を懸念する声が上がる。日本人にもなじみ深いマンハッタンの風景はがらりと変わり、日本人観光客が戻ってくる日は、また遠のいてしまったかもしれない。

板で覆われたサックスフィフスアベニュー(筆者撮影)
板で覆われたサックスフィフスアベニュー(筆者撮影)
五番街で板を取り付けている最中(写真=筆者撮影)
五番街で板を取り付けている最中(写真=筆者撮影)

有名ブランドのショップが立ち並ぶマンハッタン五番街で、高級ブランドを軒並みそろえ存在感を発揮している老舗高級デパート、サックス・フィフス・アベニュー。道行く人を楽しませるショーウインドーはすべて板で覆われ、昼間から屈強な警備員が十数人立ち並んでいた。警備担当者によれば、板で囲っていたのにもかかわらず襲撃された有名デパート・メーシーズを教訓としており、店内にも警備員を配置、昼夜を問わず万全の態勢で臨んでいるという。