両親ともに教師で、自身も教師になることが夢だったという山口真さん。念願の教師の仕事に就いたのに、転職を繰り返し、最終的には起業を果たした深い意味とは――。

幼いころからメモ魔だった

「起業を全く考えていなかった頃、一時期いろんな経営者セミナーに顔を出したことがありました。その時、『この会社のこの制度はいいな』『これはやっちゃいけないことだな』と思ったことをメモに取って、大量に残しておいたんです。今もそれが生きているんですよ」

エムズサイエンス 山口真社長(写真提供=本人)
エムズサイエンス 山口真社長(写真提供=本人)

エムズサイエンス代表取締役の山口真さんは、エレガントな風貌とはややギャップのある、持ち前の“凝り性”ぶりを明るく語る。気になったことは、どんなことでも突き詰めて考えないと気が済まない性分なのだ。

同社が販売するのは、炭酸コスメを中心にした「ル・ソイル」という化粧品ブランドだ。山口さんは大学では理学部を専攻していたバリバリのリケジョ。特殊な製造方法を施す同社の炭酸コスメの開発プロデュースは、山口さんが自ら行った。豊富な化学の知識を有するプロフェッショナルだ。

そんな山口さんだが、もともとはメイクからは程遠い、とてもお堅い環境で育ってきた。両親は学校の教師で、自分も教師になるのが長年の夢だったという。

「『虹はどうしてできるのか』といった自然現象にとても興味があり、本を調べては確かめるような子どもでした」と振り返る。

勉強したことは一つ一つノートに書き記した。友人がノートを1冊埋めるころに、山口さんは3冊埋めるペースでメモを取っていたという。

理屈がわからないことは確かめたくなる性格で、おのずと理系を志望した。